2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23820028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古川 敏明 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 講師 (90609372)
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Keywords | ハワイ語 / 相互行為 / 談話分析 / 会話分析 / 多言語データ |
Research Abstract |
本研究の目的はこれまで危機言語のドキュメンテーションおよび再活性化運動の成功例として論じられてきたハワイ語研究に相互行為の視座を導入することである。言語文化の保護保存のために実施された母語話者へのインタビューなどを談話テクストを構築する相互行為として捉えなおした上で分析を行い、ハワイ語を含む多言語が用いられる言語活動が「ハワイ語を話すこと」であり、「先住ハワイアンとして話すこと」であるという仮説を検証することを通して、言語理論への寄与と言語共同体への支援を深化させることを目指している。 平成23年度の主目的は(1)既存の映像・録音資料の特定と入手、(2)既存の文字起こしデータの特定と入手、(3)データの予備的分析であった。資料の収集については新たな撮影・録音を行うのではなく、既存のものを利用することによって、効率的にデータベースを構築することを目指した。8月から9月にかけて行った現地調査の結果、ハワイ大学に所蔵されている映像資料はごく一部しか文字化されていないことがわかった。一方、ビショップ博物館とブリガム・ヤング大学に所蔵されている録音資料の多くは文字化されているので、可能なものについては入手した。予備的な分析を行うのに十分なデータが収集できたので、録音と文字化資料をつき合わせながら相互行為としてのインタビューを分析する作業を進めている。以上の成果に基づき、来年度は(1)データベースの継続的構築、(2)文字起こしデータの精密化、(3)文字起こしした抜粋データの分析、分類、類似例の収集、そして一般化を行うことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールド調査を行った結果、ビショップ博物館のアーカイブスなどに所蔵されているハワイ語母語話者のインタビュー録音を特定することができ、録音の文字化資料が存在するものを入手することで、効率的にデータベース構築を始めることができた。現在、相互行為の予備的な分析を行っており、さらに詳細な分析を行う必要がある箇所を特定するための作業を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、ビショップ博物館のアーカイブスに所蔵されているハワイ語母語話者とのインタビュー録音と文字化資料を特定して購入する。データを効率的に増強するため、特に文字化資料が存在する録音を中心に入手する。どのデータを追加で入手すべきかについては、博物館の学芸員とも相談して決定する。こうして構築したデータベースの中で詳細な分析を行う部分を特定し、研究協力者からの協力を得て文字化資料を細密化する。ただし、研究協力者とは直接会う機会が限られているため、作業の進捗状況を管理することは困難が伴うと予想される。そのため、電子メールやスカイプなどを利用してコミュニケーションを図っていく。
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