2011 Fiscal Year Annual Research Report
カリフォルニア州トュール・リヴァー部族の形成過程に関する研究
Project/Area Number |
23820069
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
野口 久美子 同志社大学, アメリカ研究所, 助教 (00609571)
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Keywords | 北米先住民史 / カリフォルニア先住民 / 部族自治 / 先住民カジノ / トュールリヴァー先住民保留地 |
Research Abstract |
本年度は、1)テホン保留地の設立過程と、2)テホン保留地内における政治、社会状況に関して、文献調査と現地調査を行った。文献調査については、二次文献として刊行図書については日本で、未刊行図書については現地での収集を行い、現地調査については、以下二度にわたる米国での調査を行った。(1)2011年10月4日~21日、カリフォルニア州トュールリヴァー保留地における聞き取り調査、カリフォルニア州ビショップにおける聞き取り調査、カリフォルニア州カーンビルにおける聞き取り調査 (2)2012年2月15日~3月15日、カリフォルニア州トュールリヴァー保留地における聞き取り調査、カリフォルニア州テホン保留地における聞き取り調査、カリフォルニア州サンブルーノ国立公文書館における一次史料調査、ワシントンDC国立公文書館における一次史料調査。(1)では、テホン保留地の設立に大きく影響を与えた「オーウェンズインディアン戦争」「チュバチュラバルの虐殺事件」「チュバチュラバルの強制移住」といった歴史的事実について、関係者とその子孫からの聞き取り調査を行い、文書史料に残らなかった移住過程の詳細についての証言を得た。(2)では、(1)の補足的聞き取り調査に加えて、テホン保留地のローカルヒストリアンからの聞き取り調査と情報交換を行い、(1)の聞き取り調査の補足的情報を入手した。また、国立公文書館では、テホン保留地設立に関する文書史料(主に、内務省インディアン局とインディアン局の現地調査員との手紙や保留地センサス等)の収集を行い、テホン保留地の設立について、連邦インディアン政策上での位置づけ、解釈等についての情報を得た。以上の調査は、テホン保留地の設立過程と、それを指揮したホセ・チコの歴史的経験を明らかにしたことにより、24年度に実施予定であるトュールリヴァー保留地と、トュールリヴァー部族の形成過程に関する調査の前段階として、本研究全体の達成に重要な意義をもつ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果についての論文投稿先と学会報告先について若干の変更があったが、研究内容についてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の課題として、次年度は聞き取り調査の予定日程/内容の変更と、公文書館における文書資料、二次文献調査の増加を必要とする。当初の研究計画では10名程度のエルダーからの聞き取り調査を行う予定であったが、調査対象者の死亡、体調不良等のため、聞き取り調査の部分的な変更を予定している。また、聞き取り調査の質問項目に対する十分な回答がえられない場合を想定し、善後策として、新たな調査対象への依頼を行うと同時に、公文書館における一次資料の調査と二次文献の収集を行い、補足的史料を用いた研究を遂行する。
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