2011 Fiscal Year Annual Research Report
アパレル企業におけるビジネスモデルの進化―SPA型からFF型へ―
Project/Area Number |
23830110
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
大村 邦年 阪南大学, 流通学部, 准教授 (60611936)
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Keywords | マーケティング / 流通 / ビジネスモデル / ファッション / アパレル / ブランド価値 |
Research Abstract |
本研究の実践的アプローチは、研究対象企業インタビュー(SPA型、FF型)であり、当初計画では6社であったが、研究目的の成果精度を高めるために予定外の該当企業5社を加え、合計11社(延16回58時間)のインタビューを集中的に実施した。この結果、研究目的である内的・外的な経営資源の再編(PPMを中心として)により既存から新たなビジネスモデルへと生まれ変わり、企業変革に到達するという仮説に対して、以下の多くの示唆に富んだ事例の発見を得ることができた。 1.経営危機から生まれる不退転の変革への挑戦(必ずノウハウ学習期間が有る) 2.グローバルレベルの権限委譲から醸成される現場力 3.進化した戦略的マーケティングの実践 4.SCMの中心はロジスティクス 5.組織エリアを超えた、風通しのよいコミュニケーションの実現 6.出来る限りシンプルな組織、意思決定のメカニズム 7.明確な企業ビジョン、ミッションの全社員共有化 8.国籍を問わず、能力ある人材の最大限活用 また、理論的なアプローチは、Darwinの進化論の経営学への導入という視点から始め、FiedlerやLawrence&Lorschを中心としたコンティンジェンシー理論(contingency theory)、Hannan,Carroll&Freemanの組織エコロジー理論、Lewin,Long,&Carollによる組織進化の共進化(coevolution)モデルについてレビューをおこなった。組織進化論は情報創造を鍵とし、いわゆるDarwinの進化論のように「変異→淘汰→保持」というパターンの考え方を単純に適用することはできない。ただし、組織の中で変異が発生し、組織全体へ大きく影響を与えることにより組織全体が変革していくことや組織が継続して進化していくとも考えられ、進化論のプロセスそのものが有効ともいえる。組織の中には、いくらかのスピンアウトするような異端の存在こそが、継続的に進化するための起因になり、不可欠である。最終年度は、実践的アプローチと理論的アプローチの成果を組み合わせ、さらに精度を高めることにより、本研究の最終目的へ到達させることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究対象企業インタビュー(SPA型、FF型)が当初計画6社から該当企業5社を加え、合計11社のインタビューを集中的に実施することができ、本研究に必要な多くの示唆に富んだ事例を計画以上に蓄積することができた。また、先行研究においても海外文献を中心としてChristopher(2004), Jesus(2010), Cachon&Swinney(2011)の最新のSPA型やFF型に関する研究レビューを入手し、本研究の新規性と重要性が確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画としては最終年度となるため、過年度実施した実践的側面からのアプローチであった研究対象企業インタビューと理論的側面からのアプローチとする海外文献を中心とした先行研究レビューから導き出された分析枠組みに関する、各々の成果を深堀し、詳細な科学的かつ理論的なする合わせを実施することになる。そして、最終的にアパレル企業が内部変革をおこなうことにより「新たなビジネスモデル」が生まれるというプロセスを進化の論点から提示することになる。インタビュー調査については、追跡・補完的な理由から再度おこない、調査内容の精度をあげたいと考えている。
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Research Products
(1 results)