2011 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線汎用光学系構築のための集光用形状可変ミラーの開発
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23860001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 隆志 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (50531472)
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Keywords | X線ミラー / 形状可変ミラー / X線集光 / 圧電素子 / 超精密計測 |
Research Abstract |
当該年度は、大曲率での変形が可能な形状可変ミラーの設計・試作と、圧電素子への最適な電圧印加方法の検討を行うとともに、フィゾー型干渉計を使用したミラー形状フィードバックシステム、周囲の温度環境安定化システムの構築を目指した。 まず形状可変ミラーの設計・試作については、有限要素法を用いた解析を行い、ガラス基板と圧電素子を組み合わせた構造によって、X線集光を行うために必要な数umの十分な変形量を実現できることを確認した。そして同じ構造の試作品の作製を行い、解析結果とほぼ同等量の変形が可能であることを確認した。 ミラー形状のフィードバックシステムについては、ミラーの変形中にフィゾー型干渉計を用いたモニタリングを常に行い続け、目標形状との差異を元に圧電素子への印加電圧を修正するプログラムを構築した。このプログラムにより、形状可変ミラーの表面形状を目標の変形形状と比較して、10nm以下の精度で再現可能であることを確認した。これは実際に、X線を回折限界条件下で集光するために十分な変形精度を満たしている。また、このことを波動光学計算を用いた集光シミュレーションによっても確かめた。 また、周囲の温度環境の安定化システムについては、シートヒータと白金測温抵抗体を使用した無振動のシステムを構築した。実際にSPring-8実験ハッチ内において温度の安定化実験を行い、6時間以上にわたって±0.05℃以下の変化という高い測定環境の安定化が可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も大きな開発ポイントである、大変形可能な形状可変ミラーの作製に目処がついており、十分な成果が得られつつあると考えられる。またその他の、形状フィードバックシステム・周囲温度環境の安定化システムの開発についても、目標としていた精度を実現出来ているため、概ね順調に研究は進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は前述のとおり基本的に順調に推移しているため、形状可変ミラー等については現在の推進方法をそのまま継続する予定である。また、今年度から新たに開発をスタートする集光ユニットについては、外部の専門家に適宜助言を仰ぎながら設計・作製を進めていく予定である。集光ユニット及び形状可変ミラーが完成し次第、SPring-8などの放射光施設にお.いて、X線集光実験を行い、性能の評価をする予定である。
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