2011 Fiscal Year Annual Research Report
タスクアンビエント空調における人体局所冷却と呼吸域空気質が知的生産性に与える影響
Project/Area Number |
23860053
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西原 直枝 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (90611129)
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Keywords | 建築環境・設備 / 知的生産性 / 室内環境質 / 脳内酸素代謝 |
Research Abstract |
エネルギー性の高い建築環境設備について検討を行うためには、省エネルギー性の評価とともに、建築環境設備によって作り出される環境について、執務者の熱的快適性や知的生産性を確保することも重要な課題の一つである。省エネルギー性の高いシステムとして、人体に近い空間を効率的に空調できるパーソナル空調やタスク・アンビエント空調が着目されている。本研究の目的は、人体周辺を局所的に空調する場合における、温熱環境や空気環境が知的生産性へ与える影響を検討することである。 本年度は、十分な換気のある中で汚染源(カーペット)の有無の違いを比較する被験者実験データを用い、空気環境の質と脳内酸素代謝測定に関する検討を行った。日常生活で経験する程度のわずかな違いを対象としているが、汚染源がある状況において、知覚空気質は悪化し、テキストタイピングの正確性が低下した。脳内酸素代謝測定については疲労や精神的努力の程度の客観指標として有効であることを示したが、本実験条件における室内空気質条件の差を検知できなかった。 室内空気質条件の差を検知できなかった理由について検討を行った。実際に曝露された室内環境による影響を正確に把握するため、外気のオゾンレベルや温湿度などの環境物理データについて、設定環境条件ごとに検討した。本実験では、室内湿度を保つために、噴霧式加湿器を用いていたが、外気の湿度が低い場合に加湿量が多かった。そのため、被験者群を加湿量によってグループ化し、知覚空気質のデータを比較したところ、汚染源有の条件における知覚空気質は、加湿量が多いグループにおいて有意に低く、空気清浄効果があったことが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに順調に進展している。デンマーク工科大学とも議論を行い、データ解析結果について考察を行うことができたため、英文誌への論文投稿への準備が大幅に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
タスク・アンビエント空調システムの入手が困難な場合等、研究が当初の計画通りに進まない場合には、研究目的である「呼吸域の空気質」および「人体の局所冷却」の検討を優先し、研究対象を測定できるような試作機器や数値計算によって評価を行うものとする。
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