2011 Fiscal Year Annual Research Report
食品含有ナノ粒子による腸管免疫機構の破綻を介した消化管炎症反応の解明とリスク評価
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23890082
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
及川 佐枝子 (多田 佐枝子) 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 特任助教 (90610585)
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Keywords | ナノ粒子 / 二酸化ケイ素 / 二酸化チタン / 腸管免疫機構 / 炎症性腸疾患 / 酸化亜鉛 |
Research Abstract |
近年、ナノ技術がめざましく発達し、工業製品としてナノ素材が広く利用されるようになった。二酸化ケイ素や二酸化チタンなどのナノ粒子は、肺上皮細胞やマクロファージなどに炎症反応を引き起こす。最近、ナノ粒子は食品添加物や医薬品としても利用されており、消化管内腔にも取り込まれることから大腸炎への関与が懸念されているが、ナノ粒子による消化管の炎症反応誘導機構は未だ明らかでない。本研究では、二酸化ケイ素や二酸化チタンなどのナノ粒子による腸管免疫機構の破綻を介する消化管炎症反応の増強作用の機構を解明し、そのリスク評価を行う。 本年度は、二酸化ケイ素や二酸化チタンのナノ粒子の分散とその評価、さらに、ナノ粒子による細胞毒性作用の解析を行った。二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化亜鉛のナノ粒子を、実験に用いる培地中で超音波破砕により分散し、動的光散乱法により粒度分布測定を行った。さらに、種々の二酸化チタン粒子(アナターゼ型およびルチル型、一次粒径21nm~250nm)を、ヒトマクロファージ様細胞THP-1、ヒト大腸腺癌細胞Caco-2に曝露し、MTS法により細胞の生存率を解析した。その結果、アナターゼ型粒子(50nm,100nm)の24時間曝露により、THP-1マクロファージ様細胞の生存率の低下が認められ、ルチル型粒子(50nm)でも高濃度で低下が認められた。Caco-2細胞では、24時間曝露ではどの粒子でも生存率の低下は認められなかったが、72時間曝露でP25およびアナターゼ型粒子(50nm,100nm)、またルチル型粒子(50nm)でも高濃度で低下が認められた。さらに細胞内活性酸素種の産生をCM-H2DCFDA染色により解析した結果、どのナノ粒子においても増加する傾向にあった。現在、マクロファージが産生する炎症性サイトカインと大腸上皮細胞への影響について、検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波破砕装置を用いたナノ粒子の分散について、条件の検討を詳細に行った。分散条件の決定後、二酸化チタンなどのナノ粒子によるヒトマクロファージ様細胞THP-1、ヒト大腸腺癌細胞Caco-2を用いた細胞毒性作用の解析は、おおむね順調に進んぎ。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、種々の二酸化チタンのナノ粒子による炎症反応誘導機構を、炎症性関連サイトカインの分泌や炎症関連タンパクの発現を解析することで、詳細に解析を進めていく予定である。 また、二酸化ケイ素やその他のナノ粒子についても、同様の検討を進めていく予定である。さらに、実験動物を用いて、各ナノ粒子の経口投与による大腸炎増悪作用、および消化管炎症反応の誘導機構を詳細に解析していく予定である。
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Research Products
(3 results)