2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会環境・育児支援ネットワークと母親の健康・子どもの発達に関する日韓比較研究
Project/Area Number |
23890239
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
牛島 佳代 福岡大学, 医学部, 講師 (10336191)
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Keywords | 社会環境 / 育児支援ネットワーク / 母親の健康 / 子どもの発達 / 日韓比較 |
Research Abstract |
子育てをめぐる社会環境が、親の健康や子どもの発達にどのような影響を及ぼすのか。個人化と社会的なつながりの希薄化がすすむなかで、日韓両国において育児不安、産後うつ、児童虐待などが社会問題となっている。本研究は従来、医学、心理学、社会学などにおいて個別に扱われてきた育児をめぐる社会環境と親の健康・子どもの発達との関係を、近隣地域の社会環境と育児支援ネットワークに着目して解明する。具体的には、日本の福岡市と韓国の大邱市の乳幼児の母親を対象に、従来の個人や家族レベルの要因に加えて、地域の社会経済的環境や育児支援ネットワークが、母親のメンタルヘルスと子どもの認知機能にどのような影響を及ぼすのかを明らかにし、母親の健康増進と子どもの健全な発達に資する施策を提案することが本研究の目的である。 平成23年度は、子育てをめぐる社会環境が親の健康や子どもの発達にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするために関連分野の研究動向を把握した。結果、日韓両国の子育てをめぐる社会環境と親の健康・子どもの発達に関する体系的な比較研究はこれまでほとんど行われていなかった。欧米では盛んに行われているものの、それらの指標を文化的背景が異なる日韓両国の都市にそのまま適用することは不可能であることがわかった。そのため、日韓に適用できる指標を開発するために、まずは韓国でパイロットサーベイを実施することとした。平成24年3月、韓国大邱市内の保育園・幼稚園数カ所に通園する園児の母親に対して通園施設を通じた調査票調査を行った。回答者数は202名である。質問項目は、育児環境、育児ストレス、子どもと母親の健康等であり、現在、その結果を分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に計画していた先行研究の文献レビューはほぼ完了した。また、パイロットサーベイについても、韓国での連絡調整がやや困難であったため、実施時期が多少遅れたものの無事遂行し現在分析に取りかかっている。したがって、研究の達成度としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの文献レビューとパイロットサーベイで得られた知見をもとに、本格的な調査を実施する予定である。具体的には、両都市の地域的差異を考慮し、各5箇所の保育園・幼稚園の乳幼児(3歳~5歳児)をもつ母親を対象にした世帯単位の調査票調査を通じて資料収集を行う。これにより、個人や家族レベルの要因に加えて、地域の社会経済的環境や育児支援ネットワークの特性が母親の健康と子どもの発達に与える影響を日韓比較研究により明らかにする予定である。
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