2011 Fiscal Year Annual Research Report
メバロン酸代謝物による顎骨壊死誘発の予防効果の検討
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23890241
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
来海 慶一郎 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (30610977)
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Keywords | 顎骨壊死 / ビスフォスフォネート剤 / ゲラニルゲラニル酸 / ファーネシル酸 / 破骨細胞 / 炎症性骨破壊 / ゾレンドロン酸 |
Research Abstract |
【目的】骨粗鬆症や悪性腫瘍による骨転移患者などの骨病変において、その治療剤である窒素含有ビスフォスフォネート製剤(NBP)の投与やその履歴を持つ患者に抜歯などの外科処置を行った際、顎骨壊死に至ることが知られているが発生メカニズム関しては未だ明らではない。最近、BRONJ誘発要因の1つにNBPの阻害物質であるメバロン酸代謝物、特にプレニル化促進代謝物(ゲラニルゲラニル酸(GGOH)やファーネシル酸(FOH))の減少が口腔内の線維芽細胞や粘膜上皮細胞の生存率や遊走能を減少させるためではないかと推測されている。そこで、本研究はBRONJモデルマウスを確立し、プレニル化を促進するメバロン酸経路代謝物(GGOH,FOHΣの投与によりBRONJの発症予防やその治療方法につながるどうか検討することを目的した。【方法】本年度はまず、(1)BRONJモデルマウスを確立する手始めに、顎骨に炎症を誘発させる目的でLPS投与による顎骨炎症モデルの作成を試みた。このために、5週齢ddYマウスを用い麻酔下にて上顎臼歯部にLPS(20mg;2times/weeks)を4週間投与し、顎骨吸収像を確認した。さらに、(2)破骨細胞の分化・過程におけるNBP製剤の効果とプレニル化促進物質の併用効果について検討するために、ddYマウス骨髄細胞より破骨前駆細胞を誘導し、RANKL投与による破骨細胞分化・形成時におけるゾレンドロン酸、GGOH及びFOHの効果について検討した。【結果と考察】(1)炎症性の骨吸収については現在までに有意な顎骨吸収像が確認出来ていない。今後は、LPSの投与のタイムスケジュールを再検討することを検討している。(2)ゾレンドロン酸は破骨細胞の分化・過程におけるTRAP陽性多核細胞である破骨細胞の形成を抑制した。さらに、FOHの同時投与した場合、全くTRAP陽性多核細胞形成が認められなかった。しかしながら、GGOHの同時投与は破骨細胞の出現は認められないものの、ゾレドロン酸単独に比較してTRAP陽性単核細胞数が増加し、ゾレンドロン酸の効果を部分的に抑制する作と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初に計画した病態モデルマウスの作成が未だ確立をみず、さらなる検討を必要なため。さらに、この病態モデルマウスの評価には最低1ヶ月を費やすために計画よりやや進行が遅くなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
顎骨壊死モデルマウス作成をもう少し集中して行い、同時に破骨細胞形成の実験について最終結果を得てin vitroの評価を完成させる予定である。
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