2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23904016
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Principal Investigator |
岸 伸子
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Keywords | 王子製紙争議 / 家族ぐるみ闘争 / 女性 |
Research Abstract |
〔研究目的〕戦後労働組合運動における王子製紙争議(1957~1960年)にあらわれた家族ぐるみの闘いを具体的に把握し、参加した女性たち自身が自己変革を遂げ、その後の人生を切り拓いたことを明らかにすることである。労働組合や夫婦間に内在した矛盾には、現代にも引きつぐジェンダーバイアスへの警告がみられる。 〔研究方法〕研究を遂行するために【写真整理】、【主婦連資料整理】、【聞き取り調査】に取り組んだ。 〔研究成果〕【写真整理】は王子製紙労組苫小牧支部の教宣部による教宣用写真、王子労組苫小牧支部のアルバム約50冊、紙パ労連書記による写真の整理である。大量の写真は、記述されてこなかった争議の各局面をもリアルに伝えている。教宣用写真大判は北海道労働資料センターによる保存を前年から準備してきたが、同センターの都合上、2011年2月に93枚の寄贈となった。労組アルバムの整理のなかで、大判の写真の時期が明らかになってきたことは収穫であり、文章化は次の課題である。【主婦連資料整理】では、苫小牧支部主婦連の加藤真栄子によるノートの活字化を図り、札幌女性史研究会7月例会にて、労働者の主婦の自己矛盾など率直に綴られていることを報告した。【聞き取り調査】は高齢化の進む関係者や王子争議を語りつぐ会開催により行った。4月には争議後に組合員らによって設立された苫小牧生活協同組合、12月は王子労組アルバムの写真の映写である。争議中の子どもや高齢者の後姿などから家族ぐるみの闘いの一面を知ることができた。2012年2月に春日井市にて王子労組東京支部や春日井支部の組合員や主婦連の方々とも写真映写による交流も図った。写真抄録に聞き取りの説明を付記した戦後労働運動の「写真集」としてまとめる作業を急ぎたい。
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