2011 Fiscal Year Annual Research Report
高校生の自己分化度とコーピングスタイルとの関連についての検討
Project/Area Number |
23906002
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Research Institution | 仙台市立仙台大志高等学校 |
Principal Investigator |
工藤 浩二 仙台市立仙台大志高等学校, 教員
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Keywords | 自己分化度 / コーピング / 高校生 |
Research Abstract |
1研究目的 高校生を対象として「なぜ自己分化度が低い者はネガティブライフイベントを経験すると不適応状態に陥りやすいのか」ということを検討するために「自己分化度が低い者はネガティブライフイベントに対して適切なコーピングを行っていない」という仮説を立て,これを検証することを本研究の目的とした。 2研究方法 首都圏の高校生(n=419)を対象として,自己分化度とコーピングスタイルに関する質問紙調査を実施した。質問紙は,自己分化度尺度として高校生用自己分化度尺度(工藤・藤生,2010)及びコーピング尺度としてCISS(Coping Inventory for Stressful Situations)日本語版(古川・鈴木・斎藤・濱中,1993)を利用した。分析は,両尺度の下位尺度間の相関係数の算出及び自己分化度尺度得点の高低によるコーピング尺度得点の差の検定(t検定)を行った。 3研究成果 分析の結果,自己分化度の低い者は,情緒優先コーピング及び回避優先コーピングを多用する傾向にあることが示された。特に,情緒優先コーピングについては,自己分化度尺度の全ての下位尺度との関連が示され,自己分化度の概念と全面的に関連があることが示唆された。情緒優先コーピング及び回避優先コーピングは,いずれも不適応的な健康変数との関連が報告されているものである(Endler & Parker, 1990)。よって,本研究の結果から,自己分化度の低い者は,ネガティブライフイベントを経験した際に,情緒優先コーピング及び回避優先コーピングを多用することによって不適応状態に陥りやすいのだろうと考えられた。
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