2011 Fiscal Year Annual Research Report
中学生の予期不安が高校生の学校適応感とキャリア意識に及ぼす影響
Project/Area Number |
23906003
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Research Institution | 宝塚市立長尾中学校 |
Principal Investigator |
南 雅則 宝塚市立長尾中学校, 教員
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Keywords | 予期不安 / キャリア意識 / 学校適応感 |
Research Abstract |
本研究は,高校生活に対する予期不安を測定し,予期不安と学校適応感との関係ならびに,キャリア意識に与える学校適応感の影響を検討するとともに,心理面や社会面,学習面への支援を行うための資料の提供が主たる目的であった。主な結果は以下の通りである。 (1)高校1年生を対象に高校入学前の予期不安を測定したところ,「対人的不安」と「社会文化的不安」が見出され,部活動や友人,教師との関係といった個別の領域でとらえるのではなく,自己と環境の関係の中でとらえることが有効であることが示唆された。(2)学校適応感の下位尺度である「自己肯定感」得点は予期不安高群において5月よりも7月の得点が高く,このことは高校生活に対する不安が高かった生徒の自信のなさや不安になりやすさが高校入学後の学校生活の経過とともに軽減していることが明らかとなった。(3)学校適応感はキャリア意識に対して影響を与えており,その影響は5月よりも7月の方が強かった。5月では,教師や友人との良好な関係が,教師や友人のことをもっと知りたいとか相手の気持ちを大切にしたいという意欲(人間関係形成)や,友人を通じて様々な情報を得ようとする意欲(情報活用)に正の影響を与えていたが,7月になると自分が学校生活の中でどのように取り組むのか(将来設計)や,自分の課題に向かって頑張ろうとする意欲(意志決定)にも正の影響を与えていた。さらに,学業に対する意欲は,5月では自分の取り組み(将来設計)や,自分の頑張ろうとする意欲(意志決定)に正の影響を与えていたが,7月になると教師や友人にも目が向けられるようになり(人間関係形成),自分の知りたいことを積極的に知ろうとする意欲(情報活用)にも正の影響を与えていた。 以上のことから,キャリア意識の向上のためには,教師や友人との良好な人間関係づくりと学業や部活動に意欲的に参加できる学校環境づくりを進めることの重要性が確認されたといえる。
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Research Products
(1 results)