2011 Fiscal Year Annual Research Report
ESDの視点からの心理劇を用いた中学校家庭科の家族・保育学習プログラムの開発
Project/Area Number |
23907008
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鎌野 育代 千葉大学, 教育学部附属中学校, 教諭
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Keywords | ESD / 心理劇 / 家庭科 |
Research Abstract |
研究目的 本研究は、国内外で関心が高まっているESD(Education for Sustainable Development)の理論に基づき、人との関係性を育むとされる心理劇の手法を用いて、中学校家庭科における家族・保育学習プログラムの開発を目的とする。ESDとは、持続可能な社会を実現するため、社会の課題と身近な暮らしを結びつけ、新たな価値観や行動を生み出すことを目指す学習や活動であり、「持続可能な開発」に不可欠な概念として「ケアリング」が挙げられている。一方、中学校家庭科の家族・保育学習においては、「人との関係性」が育成できるような学びの場を提供することが重要であり、家庭科におけるケアリング教育を推進するためには、実践化の方法論を検討していくことが必要になってくる。 そこで、本研究では、中学校家庭科の家族・保育学習において、「人との関係性」を育成するための学習方法として心理劇を取り上げ、導入・実践し、心理劇を通した生徒たちの学びを明らかにすること、また家族・保育学習における心理劇の学習プログラムを開発することを目的とする。 研究方法 心理劇の導入・実践、生徒たちの学びを読み解くにあたっては、松村康平の人間関係学において確立された心理劇の理論と技法を援用した。なお、保育学習では心理劇の授業を2時間行った後に、家族学習では1時間行った後、生徒に自由記述してもらい、そこから生徒の学びを読み取った。 研究成果 自由記述の考察から、生徒たちが心理劇を通して、他者の立場や感情を受け入れ、自己や家族を客体化できるようになることがわかった。加えて、「人との関係性」の学びを言語化という手立てを通して、生徒たちが自覚的に捉えていることが示された。この学びの言語化は、教師にとっては、より効果的な心理劇の導入・実践のための有益な知見となる。以上の結果から、心理劇の導入・実践は、学校の授業におけるケアリング教育の実践化という視点から捉えた場合の有効性が示唆された。
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Research Products
(2 results)