2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23908004
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Research Institution | 大阪府立吹田東高校 |
Principal Investigator |
今村 一博 大阪府立吹田東高校, 教諭
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Keywords | 多読 / 読みの流暢性 / 認識速度 |
Research Abstract |
1.研究目的 単語・句の認識速度を向上させる(読みの流暢性を高める必要条件)のに多読が有効であると指摘されているが,多読によってその認識速度が速くなることを実証したのは今村(2010)のみである。その研究の限界を補って,多読がどのような単語・句に対して認識速度において効果があるかを詳細に調査した。 2.研究方法 対象:日本語を母語とする16~17歳の初級英語学習者 (1)処遇(多読)群に,4カ月間図書館の易しい英語の本を課外で借りて読み,読書記録を定期的に提出させた。 (2)事前/事後テスト(全員) 視覚提示ソフトを利用した判断課題(反応時間を測定) (1)品詞・頻(親密)度・語長(音節数)を統制した実在語,及び非実在語を用いた語彙性判断課題(2)動詞+名詞型/形容詞+名詞型及び実在しないコロケーションを用いたコロケーション性判断課題 (3)上位/下位概念語,及びその関係を持たないペアの語を用.いた判断課題 3.結果と考察 語彙,動詞+名詞型/形容詞+名詞型コロケーションの判断課題において処遇群の反応時間が有意に短くなったが,上位/下位概念語の判断課題においては有意差が表れなかった。 また高頻度語の方が中頻度語よりも,語長の長い語の方が短い語よりも多読の効果が大きい傾向が見られた。品詞に関しては動詞が他の品詞よりも効果がある可能性が示唆された。 多読中に遭遇する頻度が高い語の方が,また既に短時間で認識できる語長の短い語よりも長い語の方が,多読の効果が大きいと考えられる。 4.教育的示唆 多読は単語・句の認識速度に関して広く効果があることが明らかとなった。しかし上位/下位語のようなパラディグマティックな語彙知識の認識速度が速くなるには大量の多読を必要とする可能性がある。 多読は遭遇する語の頻度が重要であることも明らかとなったので,授業等で扱う語彙と,多読用図書の語彙の傾向を考慮して補完的に指導することが望ましい。
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Research Products
(1 results)