2011 Fiscal Year Annual Research Report
課題を有する生徒の多い高等学校における地理歴史統合科目の開発
Project/Area Number |
23908006
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Research Institution | 東京都立永山高等学校 |
Principal Investigator |
大木 匡尚 東京都立永山高等学校, 教諭/教員
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Keywords | 地理歴史統合科目 / 地域史の教材化 / 歴史教育の存立機序 |
Research Abstract |
当該助成の恩恵により、東京都設定科目「江戸から東京へ」(以下、「江戸東京」)の先行実施に伴うすべての授業内容の開発を完了させることができた。この実践研究は、東京都多摩地域の地域史および地域の地誌を、高等学校地理歴史科の枠内において教材化することにより、高等学校生徒の《日常知》を媒介項にした新たな地理歴史統合科目を創出することに寄与するものであった。当該研究は、学界のみならず広く教育界で注目を受けることになり、高等学校地理歴史科教育における新たな枠組みを提示するに資するものとなった。本年度、日本学術会議が将来の教科として「歴史基礎」の創出を提言したが、「江戸東京」は、東京都の日本史必修化施策の遂行に寄与するものである以上に、はからずも学術会議の提言の先駆としての位置付けを得ることになった。また、当該研究により、高等学校生徒にとってより身近な《日常知》の形成に努めることは、学習上の課題を有する生徒にとっても、その課題を乗り越え、生徒の《科学知》さらには《市民知》の形成に有効であることが実証されつつある。このことも、当該研究の成果であった。 今後は、東京都多摩地域のピンポイント的に開発してきた地理歴史統合的教材をより普遍化して広く学界および教育界に提供していくことが必要である。すなわち、地域史および地域の地誌を高等学校地理歴史科の教材として取り込むことの有用性を、さらに学界および教育界に発信すると同時に、東京近郊において普遍的な地理歴史統合的教材の開発にあたり、地域史教材の有用性をさらに確実なものにしていくことが課題である。また、開発した教材を共有するため、デジタル・コンテンツの開発およびその公開にも努めていく。当該研究は地域史の教材化に向けた端緒であることを確認する。
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Research Products
(7 results)