2011 Fiscal Year Annual Research Report
中学生の科学的な思考力・判断力・表現力を鍛錬する理科授業のモデル化に関する研究
Project/Area Number |
23909057
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Principal Investigator |
宮田 斉 , 家庭教師
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Keywords | 科学的な思考力・判断力・表現力 / 電流の方向性と保存性の概念 / 豆電球教材 |
Research Abstract |
先行研究は次の点を明らかにしている。(1)中学理科の教師は「回路における電流や電圧の規則性」を最も指導困難と自認する。(2)小・中学生が回路に適用する電流の方向性と保存性についての考えは多様であり、且つ文脈依存性がある。(3)文脈依存度の高い中学生の多くは電流の方向性と保存性について真剣に考えた経験がないためこの概念を持たない。この者は回路に場当たり的な考えを適用する。(4)電流の学習内容について中学2年生の「興味を持ち難い・理解し難い・嫌い」という意識は小学6年生より強く、且つこれらの意識は男子より女子の方が強い。(5)並列回路を流れる電流の特性を理解していない者や科学的な根拠を文章で表現できない者がいる。 本研究の目的は、電流の学習において科学的な思考力・判断力・表現力を鍛錬し、且つ既有の考えを科学的な考えへ収斂させる、又は電流の方向性と保存性の概念をもたない者にこの科学概念を習得させるという理科授業モデルを考案することである。 日本の現行教科書6社中5社は従来型(単純電気回路を含む3種の回路教材:2個の豆電球の明るさが異なる直列回路に基づく)を掲載している。まず、調査研究を行い、中学1年生の学びの現実に沿って不一致喚起の実験操作の回数を増やし,回路教材群に埋め込まれた疑問を調べる意欲を高め得るゼロ型(単純電気回路を含む4種の回路教材:従来型とは豆電球の規格が異なり片方のみ点灯して見える直列回路に基づく)を考案した。次に,中学3年生が先の概念を再履修する場合,「自由電子が原子に衝突すると原子が振動して光と熱が生じるという事実と,オームの法則に基づき回路内の導線・豆電球内の自由電子の運動エネルギーを模擬的に算出した後,粒子水流模型を観察して自由電子が回路内を流れるイメージを形成させる」という指導法を考案した。生徒は先の疑問を調べる過程で,科学的な思考力・判断力・表現力を鍛錬できる。
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Research Products
(2 results)