2011 Fiscal Year Annual Research Report
生徒・保護者と創る、知的障害生徒が理解できるビジュアル化された個別の教育支援計画
Project/Area Number |
23911006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宇佐美 太郎 筑波大学, 附属大塚特別支援学校, 教諭
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Keywords | 個別の教育支援計画 / 知的障害 / 生徒の参加 |
Research Abstract |
○研究目的:現在、特別支援教育の現場で作成されている「個別の教育支援計画」の内容を、知的障害を持つ児童生徒にも理解できる様式の開発、Plan/Do/seeの過程に障害を持つ本人・保護者が主体的に参加できる運用過程の検討を行う。本研究では、(1)指導の見通し図を運用した支援計画の取組みを教育現場の教員に広く周知し、活用してもらう、(2)指導の見通し図を使用した移行支援の連携のあり方について検討することを目的とする。 ○研究方法:本校高等部、全てのクラスにおいて、今までは教師が単独で行っていた支援計画立案、評価のプロセスに、ティームティーチングを行っている全ての担任、生徒、保護者参加によるブレインストーミング、KJ法の手法を取り入れた。その際に使用するアイディアプロセッサの使用方法と、話し合いの進め方、年間のPlan/Do/seeの過程についてまとめた、マニュアルを作成し講習会を行った。この手法で作成された図を「指導の見通し図」と呼び、日々の学習に活用してきた。「指導の見通し図」とは頂点に生徒のかなえたい夢を位置づけた樹型図で、支援計画目標を長期(上層)・中期(中層)・短期(下層)と階層化し、ビジュアル化された支援計画である。そして学期に一回行われる三者面談において同様の手法で評価・振り返りを行い、その様子をビデオカメラで記録した。また、すでにこれらの取り組みを実践してきている保護者に、保護者が考える保護者や本人の参加度や課題に対する理解度、本取り組みによって得られた本人の成長・過程での様子の聞き取り調査を行った。また、卒業時の就労・移行先との移行支援会議で「指導の見通し図」を用いた引き継ぎを行った。 ○研究成果:本取組みに関する保護者への聞き取り調査では、本人・保護者ともに、個別の教育支援計画を図示・視覚的に示してもらうことで、学校における教育内容やその目的が、そして将来の目標などがよりはっきりとイメージできるようになった、また、本取組み前まで行われていた文字だけの個別の教育支援計画と比較すると、より家庭や本人の想いや意思をより深く反映させることができたという意見が大半であった。また評価に関しても、達成度に応じてニコちゃんマークや×をつけるなどで、より生徒が理解しやすいものとなっていたことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)