2011 Fiscal Year Annual Research Report
一斉指導の中で発達障害児がともに学べる2年生新出漢字の指導方法
Project/Area Number |
23911011
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Research Institution | 飯塚市立飯塚小学校 |
Principal Investigator |
杉本 陽子 飯塚市立飯塚小学校, 教員
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Keywords | 特別支援教育 / 教材 / 通常の学級 |
Research Abstract |
1.研究目的 通常の学級に在籍する漢字の読み書きに困難のある児童に対して,個々のつまずきに応じた継続した支援を行うために,一斉指導の中で展開できる新出漢字の指導方法を研究開発する。 2.研究方法 小学校2年生で学習する新出漢字の指導を効果的に進める「指導プログラム」「支援教具」を作成し,これらを活用して在籍校及び協力校で実践を行った。対象児童の学習のようすや漢字の定着度,他の児童への効果を明らかにしながら,指導プログラムや支援教具の有効性,活用のしやすさを検証した。 3.研究成果 『指導プログラム』の中には,読みの先行学習,ゲーム感覚で楽しく学習に取り組む活動や多感覚を使って学ぶ活動,スモールステップのプリント学習などを盛り込んだ。指導の際に活用する支援教具は,「大型漢字パネル」「イラスト付き漢字フラッシュカード」「漢字かるた」「漢字のにんにん体操2年生バージョン」「漢字の構成要素で筆順学習カード」「指でなぞって確かめボード」など10種類を開発活用した。その結果,漢字の読みについては,2年生4月のアンケート結果では,対象児童の半数が「漢字を読むことは難しい」と答えていたのに対し,2年生3月には7割以上の児童が「漢字を読むことは難しくない」と答えていた。これは,「漢字クイズ」や「漢字かるた」などゲーム性の高い教材を活用し,読みの学習を楽しく繰り返すことができたためと考える。また,漢字の書き取りについても,2年生4月には対象児の6割以上が「難しい」と答えていたのに対し,3月には約8割が「難しくない」と答えていた。これは,個々の子どものつまずきに応じた手立て「漢字の構成要素カード」「漢字のにんにん体操」「指でなぞって確かめボード」などを活用して指導を丁寧に行ってきたためと考える。特に筆順が苦手な子どもは,「漢字の構成要素カード」の活用で,漢字の筆順を意識した書き取りができるようになった。漢字を覚えることが苦手だった児童は,「漢字のにんにん体操」により,体で漢字を体感しながら形を覚え,書き取りの正答数が上がっていった。また,細部に注意を向けるのが苦手だった子どもには「指でなぞって確かめボード」を活用することで,とめ・はね・はらいや線の数など,これまで見落としがちだった部分に気をつけて書き取りができるようになっていった。日記や作文を書くときにも,漢字を使う子どもが増えたことが,担任の感想や児童のアンケート結果から明らかになった。これらのことから,指導プログラムと活用した支援教具は有効であったと考える。
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