2011 Fiscal Year Annual Research Report
1941~1953年の米国軍事経済における中小企業の位置
Project/Area Number |
23912003
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Research Institution | Tsu City College |
Principal Investigator |
三瀬 貴弘 三重短期大学, 非常勤講師
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Keywords | 戦時経済 / アメリカ経済 / 中小企業 |
Research Abstract |
●研究目的 第二次大戦期の戦時経済における中小企業の位置を解明することを目的として、第二次大戦期に存在した中小企業支援機関であるSWPC(Smaller War Plants Corporation;中小戦時工場公社)を分析対象とし、SWPCの創設をめぐる立法過程と運営実態を明らかにしようとした。 ●研究方法 関西大学や国会図書館で入手した、連邦議会における委員会の公聴会記録や、SWPCの報告書を主たる資料として、それらを丹念に読み込み再構築するという研究方法を用いた。 ●研究成果 立法過程の分析では、1941年12月の真珠湾奇襲から42年6月11日のSWPC創設法の成立までの時期を対象として、創設法案の形成と修正をめぐる審議過程を解明した。その結果、連邦政府における中小企業の政治的位置を強化するという政策志向と、戦時動員に中小企業を活用するという政策志向をもった「二重の性格」を持つ機関として、SWPCが創設されたことを明らかにした。また、運営実態の分析では、大企業利害を代表する第2代SWPC議長ジョンソンにより、中小企業が意図しない契約配分形態(大企業体制のもとに中小企業を下請再編する)をSWPCが選択することになった点、第3代SWPC議長マヴェリックの下で、SWPCが戦後の再転換問題へと業務を拡張していった点などを明らかにした。 本研究は、国内では直接的な研究対象としてこれまで取り上げられてこなかった、SWPCの実態を解明した上で、SWPCを総合的に評価した点がまず重要な成果である。さらに第二次大戦期の戦時経済において、SWPCの主体的な選択を通じて、中小企業が大企業の下請けという従属的な地位を強制されたという事実を解明した点は、米国軍事経済における中小企業の位置が形成された始点を解明したという意義を持つ。
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Research Products
(1 results)