Research Abstract |
平成16年の法人化以降,大学・高専では労働安全衛生法が適用され,適切な対応が求められている。米子高専においても安全衛生委員会が設置され,規則や設備の整備など様々な対応がなされてきた。このような状況の中,将来労働安全衛生法の下で仕事をすることになる学生を教育する機関として,学生の実験・実習における対応は充分ではないと感じられたため,本校及び他機関での調査を基に,本校物質工学科の学生を対象にした安全教育について検討した。 物質工学科学生に対して事故経験,ヒヤリハット経験についてアンケート調査を行った。また,物質工学科の教職員に対しては実験・実習での安全衛生に関して,事故事例,ヒヤリハット事例についてアンケート調査を行った。アンケート結果からは,低学年から高学年になるにつれ,危険な薬品の使用も増えるため,実験器具取り扱い上の事例に加え,薬品の取り扱いに係る事例が増えていることが分かった。さらに,予想していた通り,学生は危険性の認識が低く,教職員との認識のギャップが強く感じられた。教職員からは様々な事故事例,ヒヤリハット事例が報告されたが,「安全教育にゴールはなく,教職員も勉強・見直しが必要である」との意見があり,自身もその思いで取り組んでいる。 この研究については,平成23年度神戸大学実験・実習技術研究会で「学生実験における環境安全教育について」と題して発表し,実験での危険性に対する学生指導の観点に関し,質問者から賛同を得られた。 アンケートで得たヒヤリハット事例及び実験中の様子の写真を元に,「実験での安全について」と題するPowerPointを作成し,24年度当初の1学年・3学年の実験ガイダンスに使用した。今後MSDSシートを活用し薬品の取り扱いについて実験テーマ毎に説明していく。また,23年度に第一種衛生管理者の資格も取得しており,今後さらに実験担当教員と連携し,学生実験における安全衛生業務に当っていきたい。
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