2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホイールボルトの負荷計測によるタイヤ脱落に関する危険因子の評価
Project/Area Number |
23917023
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Research Institution | 三重県警察本部 |
Principal Investigator |
戸田 均 三重県警察本部, 刑事部・科学捜査研究所, 技官
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Keywords | ホイールボルト / タイヤ脱落 / 実車実験 |
Research Abstract |
【研究目的】 ボルト締結体の事故で多く報告されるホイールボルト事故の防止のため、ホイールボルトの締結状態がボルトの応力にどのように影響するかを調査し、タイヤ脱落事故発生の危険性が高まる要因について検討した。 【研究方法】 実験には実際の車両を用い、ひずみゲージをホイールボルトに取り付け、走行時にホイールボルトにかかる曲げ応力を計測した。計測対象の車輪は事故事例の最も多い左後輪とし、計測した曲げの負荷方向は、ホイールの回転に対して、その回転方向と半径方向である。 【実験結果】 ひずみゲージデータ、速度データを解析することにより、車両走行時のホイールボルトへの負荷について以下のことが明らかとなった。 1.通常の締結状態においては、ホイールボルトの半径方向には、両振りの曲げ応力が発生している。 2.半径方向の応力振幅は、右旋回時に増大し、左旋回時に減少する。また、その繰り返しの周期は、タイヤ1回転に対して1サイクルである。 3.円周方向には、左右の旋回時に応力振幅の小さな繰り返し負荷がかかり、その振幅は右旋回時にやや大きくなる。また、その負荷の周期は、タイヤ1回転に対して2サイクルである。 4.軸力がほとんどない状態のボルトがある場合には、そのボルトの半径方向の負荷は、両振りではなく、片振りの曲げとなる。 【まとめ】 ホイールボルトへの負荷は、取り付け車輪への負荷が大きくなる場合に増加する傾向があり、過積載等も危険性が高いと考えられる。また、ホイールボルト1本のみの異常は、その直後の走行においては影響が小さいと考えられる。ただし、その状態での走行により他のボルトの軸力の低下を引き起こし、事故に至る可能性は否定できない。
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