2011 Fiscal Year Annual Research Report
観測記録を用いた設計用入力地震動作成手法の研究―合成波の定量的評価―
Project/Area Number |
23920015
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
飯山 かほり 東京理科大学, 工学部・第一部建築学科, 嘱託補手
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Keywords | 設計用入力地震動 / 実地震波合成法 / ウェーブレット変換 |
Research Abstract |
■研究目的 構造物の耐震技術を向上するため,耐震安全性評価法のさらなる充実と合理化を目指し,現在開発中である"直交ウェーブレット変換を用いた設計用入力地震動作成手法"の改良,評価・検証を目的とした。 ■研究方法 本手法は平成22年度課題「直交ウェーブレット変換を用いた設計用入力地震動の作成手法に関する研究」(課題番号22920014)と同様であるため,手法の詳細は割愛する。本手法では,1波の設計用入力地震動(以下,合成波)の作成にあたり複数の観測波を用いるため,観測波群の適切な選定が肝要となる。本研究では,観測波そのものの性質を評価した上で,作成した合成波の性質との関係を明らかにした。なお観測波群は工学的基盤上で得られた1gal以上の波とし,サイト増幅特性を可能な限り排除するようにした。 ■主な研究成果 A.マグニチュードと震源距離の違いによる観測波と合成波の定量的評価 観測波の時刻歴包絡に大きく影響するマグニチュードおよび震源距離に対して,観測波の包絡との関係を定量的に評価し,これが合成波にどのように反映されるかをエネルギー平均(波形の重心)と標準偏差(波形の広がり)という指標を用いて評価した。その結果,両者が比例関係にあること,合成波の方が標準偏差は2~3倍程度に大きい傾向があることを確認し,合成時には時刻歴上でのシフト調整が必要であることがわかった。 B.周期非定常性の定量的評価 合成波と用いた観測波群をそれぞれウェーブレット変換により約0.1~30Hzの範囲で9種の周波数帯に分離し,互いの性質を確認した。この結果,観測波の選定方法に関わらず,観測波群の各周波数帯のエネルギー平均の推移が合成波に反映されることを示した。これは,合成波に観測波群の平均的な周期非定常性がよく反映されることを示唆した結果である。ただし,観測波群の各周波数帯の波形標準偏差は,合成波の方が観測波の1.3~2倍程度大きくなる傾向が見られた。
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Research Products
(2 results)