2011 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザーを用いたナノホール形成による2次元フォトニック結晶の作製と評価
Project/Area Number |
23921008
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 智子 秋田大学, 工学資源学研究科, 技術系職員
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Keywords | レーザーアブレーション / フォトニック結晶 / ナノホールアレイ |
Research Abstract |
本研究では、ワイドバンドギャップ酸化物結晶及びガラス(真空紫外域で透明なホウ酸塩材料等)において、フェムト秒レーザーアブレーションによる、表面にナノホールが正方格子及び三角格子状に配列した2次元スラブ型フォトニック結晶の作成と構造の観察・分光評価を目的とする。ナノホールアレイの作製はTi:Al_2O_3フェムト秒レーザーシステム(λ=800nm;137-164fs;200kHz,円偏光,TEM_<00>モード)を用い、シングルショットで、1/6Li_2O・1/6K_2O・2/3B_2O_3(LKB)ガラスとLi_2B_4O_7(LBO)結晶にアブレーション加工を行った。また、レーザー照射加工時に1列アブレーションを行わないことで、ホール列のない線欠陥を有するホールアレイを作製した。 FIB-SEM光学顕微鏡およびFIB-SEMによりアブレーションスポットを観察した。観察されたホールの大きさ、形状および周期の値と屈折率を用い、平面波展開法でフォトニックバンド構造を計算した。また、線欠陥をもつホールアレイに対してFDTD法により光の伝播の様子をシミュレーションした。 得られた成果:アブレーションによるホール形成のレーザーパルスエネルギー依存を調べた結果、LKBガラスでは0.45-0.5μJ,LBO結晶では1.25-L45μJで孤立したホールの形成には最適であることが分かった。 LBOではアブレーションにより、円柱状のホールが形成され、平均直径はレーザー波長(800nm)以下の~280nmで、深さは~700nmであった。ナノホールアレイは、ほぼ三角格子状の領域と正方格子領域が存在した。LBOでは、LKBとは異なり、四角形状で1辺が~280nmのナノホールを形成することに成功した。ホールの大きさは両サンプルともに照射波長の1/3程度であることを見出した。アブレーション過程は、LKBとLBOのバンドギャップ(<200nm)を考慮すると3光子吸収による多光子イオン化によるのではないかと推定された。また、照射レーザーが円偏光でTEM_<00>モードにもかかわらず、四角形状のホール形成は、LBO結晶の単位格子が正方晶構造を反映している可能性がある。EM観察から得られたホールの大きさ(280nm)、形状(円柱および四角形)、周期(400nm)を用い、観察からホール配列を三角格子と近似し、平面波展開法でフォトニックバンドを計算した結果、Γ-MとΓ-K方向にそって不完全バンドギャップが現れることが分かった。次いで、SEM観察データを基にLBO結晶中に1列のホールが抜けた線欠陥を有する三角格子におけるTMモードの光の伝播を、FDTD法でシミュレーションした結果から、今回作製した線欠陥ナノホールアレイでは、不完全バンドギャップを反映して、光の閉じ込めは、線欠陥中で不完全ではあるが光が線欠陥中に伝搬することが分かった。
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Research Products
(2 results)