2011 Fiscal Year Annual Research Report
シリカ含有湿潤真球粒子を用いた新規血液透析器用充填材料の創成
Project/Area Number |
23921010
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 有里 岡山大学, 工学部, 技術専門職員
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Keywords | ゾルーゲル / タンパク質吸着 / シリカ |
Research Abstract |
研究目的: 腎または肝臓機能が低下した患者に用いられている従来型血液浄化療法では、血液適合性が乏しい活性炭等が臨床応用されている。このためPHEMA等高分子皮膜が必須で、それに付随する多くの問題が生じている。これまでにヒドロキシアパタイト(HAp)が、血液適合性に極めて優れ、かつ、血中病因物質を選択的に吸着可能であることを明らかにしている。しかし、1mm前後の顆粒状でなければ血流の阻害・血球破壊を引き起こすため、血液浄化用カラム充填剤には適さない。本研究では、直径1mm~2mmの有機-無機ハイブリッドシリカゲル湿潤真球粒子をゾル-ゲル法で作製し、表面にHAp皮膜を形成させ、高タンパク質吸着特性を有する粒子の創製を目的とした。 研究方法: 2M HClに30wt%水ガラスを滴下し、pH3.5のゾル溶液を調整しシリカゾルを得た。得られたシリカゾルを1.5wt%アルギン酸ナトリウム溶液と混合させた後、混合溶液をシリンジポンプにより塩化カルシウム溶液に滴下し、シリカ-アルギン酸粒子を得た。得られた粒子をアンモニア溶液に浸漬させた後、80℃のリン酸水素ナトリウム/エタノール溶液、塩化カルシウム溶液の順に浸漬した。表面の結晶構造をX線回折装置(XRD)で調べ、牛血清アルブミン(BSA)と卵白リゾチーム(LYZ)を用いたタンパク質吸着特性を評価した。 研究成果: X-線回折の結果から、HApがシリカ-アルギン酸粒子表面に析出していることが明らかになった。ウシ血清アルブミン(BSA)と卵白リゾチーム(LYZ)の吸着実験により、粒子表面にはBSAよりもLYZはより高い吸着能を示した。これらより、HApコーティングしたシリカ-アルギン酸粒子は、今後血液浄化用充填剤として期待できる。
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Research Products
(5 results)