2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規高機能性薄膜材料の迅速・高精度深さ方向組成分析法の検討
Project/Area Number |
23921011
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
程内 和範 長岡技術科学大学, 技術支援センター, 技術専門職員
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Keywords | グロー放電 / 機能性薄膜 / 深さ方向分析 |
Research Abstract |
本研究では、グロー放電発光分光法(GDS)を用い、高機能性薄膜材料等に対する迅速高精度な深さ方向の元素組成分析法の検討を目的とした。ここでは、GDS分析で生じるスパッタ痕形状等に注目し、高周波(RF)グロー放電条件として「Arガス圧力」および「印加RF電力」を変化させ、これらの放電条件に依存して変化するスパッタ痕の断面形状測定を行った。またスパッタ痕の断面形状が異なる条件下で、種々の薄膜についてGDS測定を行った。実験では、高周波放電パラメーターである印加RF電力を25W,35W,45Wで、Arガス圧力を400pa,600pa,800paで変化させた。このうち45W-800paの組み合わせによる最も激しいスパッタ条件下では、スパッタ痕形状が(凸状)の深い穴となった。また、25W-400paの最も穏やかなスパッタ条件下では、スパッタ痕形状が(凹状)の浅い穴となった。(45W,35W,25W)-600paの時、両者の中間の平らな形状に近づく傾向があった。両パラメーターのうち、特にAr圧力の変化で底面の凹凸形状が大きく変化した。従ってスパッタ痕形状に対しては、Ar圧力の方が印加RF電力に比べて大きく影響し、スパッタ痕形状の平面性、更には分解能へ大きく影響を与えると考えられた。両パラメーターを適切に設定して、スパッタ痕の底面形状が(凸状)と(凹状)の中間状態として平坦に近づく場合が、深さ分解能的に有利と考えられる。これより、スパッタ痕形状、更には深さ分解能に対する高周波放電条件等との関係性について知見が得られた。Sn/Fe基板機能性膜を用いたGDSの時間-出力測定曲線より、激しいスパッタ条件(凸状痕)でも、穏やかなスパッタ条件(凹状痕)でも、曲線形状に不安定な要素が見られた。両者の中間条件(≒平面痕)では、GDS測定曲線形状が比較的安定した。またNi-Cu-Ni多層膜(各0.5μm)/Cu基板による、GDS深さ-濃度曲線では、激しいスパッタ条件(凸状痕)の時、曲線形状が歪みNi-Cu-Ni構造がはっきりしなかった。より穏やかなスパッタ条件(平面~凹状痕)では、痕の平面性と削れ量の減少のため、Ni-Cu-Ni構造がよりはっきりした。これより薄膜の薄い層を分離して把握する為にはスパッタ痕の平面性を確保しつつ、より穏やかな条件で削る事も大切であった。
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