2011 Fiscal Year Annual Research Report
雑種性アカミタンポポの遺伝的多様性と生理的性質の解明
Project/Area Number |
23923007
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Research Institution | 愛知県総合教育センター |
Principal Investigator |
櫛田 敏宏 愛知県総合教育センター, 研究部・教科研究室, 教科研究室長
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Keywords | 雑種性タンポポ / マイクロサテライト遺伝マーカー解析 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
愛知県に見られるタンポポには、在来種(ニホンタンポポTaraxacum platycarpum Dahlst.)と外来種(セイヨウタンポポT.officinale WeberとアカミタンポポT.laevigatum DC.)があり、愛知教育大学の渡邊・芹沢ら(1997)によって、在来種と外来種の雑種が広く在来種の分布域にまで進出していることが報告されている。また、雑種性タンポポはその生理・生態的特性の研究から、個体によって発芽特性が異なること(渡邊・櫛田ほか(2003))や倍数性の違いによる発芽特性が解明されてきた(HOYAら(2004))。自然状況下では、我々のこれまでの研究で、マイクロサテライト遺伝マーカー解析の結果、雑種性タンポポは、クローン性が低く、無融合生殖を行うタンポポにおいても交雑は頻繁に起こっていることを解明した。 今回は、地域によって雑種形成率の異なるアカミタンポポに着目し、その遺伝的多様性と発芽特性を中心とした生理的特性を詳しく検討し、雑種形成の過程の解明を目指した。見かけ上アカミタンポポを愛知県豊明市で採取し、葉を用いて酵素多系分析により雑種個体を確定し、その種子を異なる温度条件下で発芽させ、生理的な特性を調べた。次にその実生個体について、RAPDによる遺伝解析を行ったところ、数パターンに分かれた。更に、酵素多系分析、マイクロサテライト遺伝マーカー解析、フローサイトメーターによる倍数性解析によって遺伝的特性を調べた。その結果、マイクロサテライトや倍数性における変異はなかった。今後、他のマイクロサテライトの解析が必要であるが、無融合生殖種であるのに交雑が起きているか、胚の形成される過程で何らかの染色体の不等分裂が起きたことが示唆された。
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Research Products
(1 results)