2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23925001
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Research Institution | 大阪府立園芸高等学校 |
Principal Investigator |
尾崎 幸仁 大阪府立園芸高等学校, フラワーファクトリィ科, 教諭
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Keywords | 社叢林 / 池田市(大阪府) / GIS |
Research Abstract |
池田市にある14の社叢林について、植生調査を行った。その結果、自然植生を保った健全な社叢林持った神社は存在しなかった。理由として(1)都市化が進んでいるために、広い面積の社叢林を確保している神社が少ない(2)管理ができていない(外来植物や竹が侵入)ことが主な原因と考えられる。社叢(林)は立地から次の3タイプに分類が出来た。(1)山間部の社叢(林)-6社(2)丘陵部の社叢(林)-3社(3)平野部の社叢(林)-5社であるが、立地による社叢林の特徴がわかった。(1)の山間部の社叢林であるが、高木はスダジイ(コジイ)・アラカシが多く、低木にはカガミモチ・ヒサカキ・ヤブツバキが確認できた。この地域の自然植生が推察できた。植林されたスギも多く、ツガの大木がある社叢林も一社あった。(2)の丘陵地の社叢林であるが、スダジイ・アラカシ・アカマツの他にクスノキやクヌギ・アベマキ・コナラが確認できた。またモウソウチクが侵入して社叢林全体を覆っている社叢もあった。植生からかなり人の手が加えられた社叢林となっていた。(8)の平野部の社叢林はクスノキやスダジイ・アラカシの他に、ケヤキ・ムクノキ・エノキの高木が確認できた。ムクノキが優占種となっていた社叢もあった。これは調査地の池田市が一級河川猪名川の氾濫流域に位置していることから、水分を好む樹種が高木として存在していると思われる。全体的に人の手が加わり本来の形態とは異なる社叢林であるが、地域の潜在植生が推測できたと共に、各社叢が抱えている社叢林の問題点についても確認できた。全体的にナンキンハゼやシュロという外来種の侵入が問題であるが、モイソウチクの侵入により社叢林の形態が変わってしまっている社叢がひとつ、今後危惧される社叢が一つあった。これらの調査結果をGISの技術を使い地図上に重ねて分析をする事を最終目的としたが、GISを使いこなせておらず調査結果を基にした、都市の生物の保護・多様性豊かな社叢林(都市空間)づくりのための指針作成まではいたっていない。
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