2011 Fiscal Year Annual Research Report
超急速冷却による植物多様性保全と高浸透圧耐性の研究
Project/Area Number |
23925002
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Research Institution | 秋田県立金足農業高等学校 |
Principal Investigator |
田中 大介 秋田県立金足農業高等学校, 教員
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Keywords | 植物遺伝資源 / ガラス化法 / 脱水耐性付与 |
Research Abstract |
ミント培養体を供試し,ドロップレット法の凍結保護物質(ガラス化液)処理時間と生存率および細胞挙動について検討した.その結果,組織細胞のガラス液処理なしで液体窒素浸漬した場合には生存は確認できないが,ガラス化処理を短時間行ったサンプルでは,液体窒素浸漬に耐え生存することが明らかになった.一般的なガラス化法は,含水率を過度に低下させる(脱水を行う)ため,煩雑な最適処理時間の検討実験が必要になる,一方,ドロップレット法では,ガラス化液による処理時間を極端に短縮できることから,必要以上に検討実験する必要がないと考えられる.また,PVS2液をガラス化液として用いた細胞内挙動観察の結果,ガラス化法で最適時間まで処理した細胞内は大きく原形質分離を引き起こしているのに対し,ドロップレット法では,原形質分離はさほど起きていない.これは,ドロップレット法によって組織細胞の急速冷却速度を速めたことの他に、細胞内へDMSOやエチレングリコールなどのPVS2液成分が浸透し氷晶形成を防御したことが示唆される.また,高い生存率が得られ再生育が早いことから組織細胞へのダメージが小さいことが示唆される. 低温馴化処理(5℃,24時間)は,ガラス化処理する組織細胞の高浸透圧耐性能力を効果的に高めた.これは。細胞内の糖類含有量が高まることで適合溶質として働くものであった.ドロップレット法に適した専用ガラス化液の組成は,短時間中に細胞外から浸透圧脱水(作用を有)しながら,同時に細胞内へ浸透し氷晶形成防御をおこなう,かつ,細胞への毒性が低いグリセロールベースのPVS2液が適していると結論付けた.今後,冷却速度の改善がガラス化液成分の改善を可能にするものと考える.
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Research Products
(2 results)