Research Abstract |
韓国産ハモは身が白い,調理しやすいなどの評判から日本産に比べて2倍以上の高値で取引される。このような価格差の要因を明らかにすることを目的に両産地で形態と肉質を比較した。また,韓国統営市,固城郡でハモ漁業等について聞き取り調査を実施した。 <材料・方法> 日本産ハモを2011年4~6月,8~10月に,韓国産を同年6~9月に各月10個体,合わせて100個体を収集した。外部形態は生鮮状態で,内部形態は煮沸して余分な肉等を除去した後,計数した。ハモ筋肉の一般成分,遊離アミノ酸組成は分析した。同年9月17日に韓日水産研究交流セミナー(統営市)に参加するとともに,固城郡で漁業者等から聞き取りした。 <結果・考察> 日本産および韓国産で脂質は平均2.3%,8.3%,蛋白質は19.7%,19.1%,水分は77.2%,74.5%,灰分は1.6%,1.5%で,脂質,水分および灰分において有意な差がみられた(p<0.01)。遊離アミノ酸組成は両産地で明瞭な違いはみられず,タウリンの割合が最も高かった。 日本産ハモ属2種の分類形質である(1)側線孔数,(2)背鰭軟条数,(3)脊椎骨数を両産地で比較した結果,有意な差はみられなかった。また,両産地で同時期に採集した同サイズの雌の肥満度および生殖腺熟度指数を比較した結果,肥満度は平均1.3,1.4,生殖腺熟度指数は4.0,1.2で,有意な差がみられた(p<0.01)。 韓国産については,型をそろえ,活力が高い延縄で漁獲された個体が,蓄養されることなく,日本へ輸出されていることが明らかになった。韓国では中骨を取ったハモをそぎ切りにして刺身で食べられていた。 以上の結果より,韓国産が日本産と比べて高値で取引される最大の要因は,顕著に脂質含量が高いことと考えられる。また,なぜ両産地で肉質にこうした違いが生じるかについては,水温や餌生物などの生息環境が影響していると推察される。
|