2011 Fiscal Year Annual Research Report
地下水位制御システム水田における乾田直播水稲の多収栽培技術の確立
Project/Area Number |
23925023
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西 政佳 岩手大学, 農学系技術室, 技術専門職員
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Keywords | 水稲乾田直播栽培 / FOEAS / pF |
Research Abstract |
目的 寒冷地における水稲乾田直播栽培において安定した出芽法の確立は最重要課題である。出芽の遅れはその後の生育や収量に大きく影響を与え、出芽は天候、特に降雨により大きく左右される。そこで、地下水位制御システム(以下FOEAS)施工水田を利用し、地下水位を制御することで出芽の促進および安定した収量確保が可能か検討した。また、施肥法についても検討し総合評価を行った。 実験方法 播種条件;供試品種'あきたこまち'、条間12cm、播種量7kg/10a 圃場条件;普通水田(40a)およびFOEAS水田(20a)を使い、FOEAS水田は播種~入水まで地下水位-15cm。 施肥条件;慣行施用(基肥N-5.2、追肥N-2・2.1kg/10a)、基肥N無施用(基肥N-0、追肥N-3・3・3.3kg/10a)。 結果 普通水田は、気象の変化により土壌pF値は激しく変動したが、FOEAS水田はpF値が1.5前後で安定して推移した。FOEAS水田は普通水田に比べ出芽期までの平均pF値が0.21低く、平均地温は1.2℃高かった。出芽日数はFOEAS水田が2日短く、出穂は3日早かった。FOEAS水田は普通水田に比べ生育期間前半の生育は優れたが、最高分げつ期以降生育は普通水田と同程度となった。また、普通水田に比べ登熟歩合がやや低かったが、穂数が約16%多くそれに伴い総籾数が15.5%多かったため収量は9.7%高かった。しかし、移植栽培に比べると出穂が7日遅く、登熟歩合が低下したため収量は約7.8%少なかった。 基肥N無施用は慣行施用に比べ出芽日が5日遅く、初期の生育が著しく劣った。しかし、1回目の追肥(6/22)以降急激に生育は回復し、最終的には慣行施用より優った。基肥N無施用は慣行施用に比べ、穂数が約16%多く登熟歩合が約13%高かったことから収量は10%高かった。 以上、FOEAS水田は普通水田に比べ初期生育および収量が良好であったが、移植栽培に比べると出穂期の遅れによる登熟歩合の低下から低収となった。しかし、生育後半の重点的な追肥により登熟歩合を高める効果が期待できることから、更なる増収の可能性が示唆された。
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