2011 Fiscal Year Annual Research Report
メトホルミンによるmTOR阻害剤エベロリムスの抗腫瘍効果の増大と血糖変動改善
Project/Area Number |
23926004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
紀平 裕美 神戸大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Keywords | メトホルミン / AMPK / エベロリムス |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究では、エベロリムスによる抗癌剤治療においてメトホルミンを併用することによる抗腫瘍効果の増大及びエベロリムス起因性糖尿病の血糖改善効果について基礎的検討を行った。 【研究方法】 細胞毒性試験 エベロリムスの持つ抗腫瘍効果に対するメトホルミンの与える影響について、ヒト腎癌由来細胞株(Caki-1)を用いてWST-1法にて検討を行った。 シグナル因子に及ぼす影響 Caki-1細胞におけるメトホルミンのシグナル因子への影響をWestern blot法により評価した。 【研究成果】 0.1、1、10mMのメトホルミン存在下および非存在下におけるエベロリムス48時間暴露後のIC_<50>値には、いずれも有意な差は認めなかった。10mMのメトホルミン存在下においてはエベロリムスの細胞増殖抑制作用を若干増強する傾向は認めたものの、有意な差とはいえず、さらにメトホルミン単独の毒性も出現しているため、相乗的な効果は認めていない。 Caki-1細胞に0.1、1、10mMのメトホルミンを24時間暴露すると、メトホルミンの活性標的であるAMP活性化キナーゼ(AMPK)はいずれの濃度においても顕著にリン酸化が亢進し、下流に位置するラバマイシン標的タンパク質(mTOR)やSignal Transduction and Activator of Transcription(STAT)3の活性が顕著に低下した。本現象を認めながら、細胞増殖抑制効果に影響を及ぼさないことについては追加の検討が必要であるが、細胞種によるシグナル因子の生存に関わる寄与の違いが影響する可能性が考えられる。
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