2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体肝移植患者のステロイド剤への感受性と白血球中の受容体発現量との相関解析
Project/Area Number |
23927001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上杉 美和 京都大学, 医学部附属病院・薬剤部, 特定研究員
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Keywords | ステロイド感受性 / グルココルチコイドレセプター / FK506-binding protein(FKBP) |
Research Abstract |
肝移植治療において、ステロイド剤に対する感受性の乏しい症例や、タクロリムスの血中濃度が十分維持されている場合においても急性拒絶反応を発症する症例が未だに存在している。ステロイド剤による免疫抑制作用の発現部位は主に末梢血であり、グルココルチコイド受容体(GR)複合体を介して薬理作用を発現する。GRの活性は複合体の一部であるFK506-binding protein4(FKBP4)及びFKBP5の影響を受けることから、GRに加えてこれらの個人差が、ステロイド剤に対する反応性を左右する可能性が考えられる。そこで、末梢血におけるこれら遺伝子の発現量が、ステロイド剤に対する感受性に影響を及ぼすか否かについて検討した。 京都大学で肝移植術を施行され、タクロリムスを用いて治療された患者294例を対象とした。術後3日目(n=102)、7日目(n=281)、14日目(n=134)に採血された末梢血よりtotalRNAを抽出し、リアルタイムPCR法を用いて、FKBP4、FKBP5及びGRのmRNA発現量を測定した。術後21日目までに急性拒絶反応疑い、又はそれと診断され、ステロイドパルス療法を施行された患者73例のうち、(1)効果あり群54例、(2)効果不十分群16例、(3)2回以上施行し、効果が異なった群3例であった。(1)及び(2)群において、ステロイドパルス療法施行前のGR及びFKBP5のmRNA発現量(amol/μg totalRNA)を比較したところ、GRの中央値は効果あり群で高い傾向を示し((1)0.224,(2)0.176)、一方、FKBP5の中央値は効果不十分群で高い傾向を示した((1)0.78,(2)1.91)が、いずれも有意な差は認められなかった。以上より、急性拒絶反応に対するステロイド治療の効果予測に、GR及びFKBP5の発現量が関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)