2011 Fiscal Year Annual Research Report
腎障害患者におけるGFR以外の薬物動態変動要因の解析
Project/Area Number |
23928019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 麻衣子 東京大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Keywords | 腎障害 / 投与設計 / 薬物動態 |
Research Abstract |
【研究目的】一般に、腎排泄寄与率が大きい薬物ほど、腎機能低下時には消失され難くなり、副作用のリスクが高くなる。薬物の腎排泄寄与率と患者の腎機能から適正な投与量や投与間隔を調整する方法としてはGiusti-Hayton(GH)法などが知られている。しかし、実際の腎機能低下患者におけるクリアランスの変化は、intactnephron仮説に基づくGH法よりも著しい場合が多数報告されている。その原因として、腎障害時には、初回通過効果、蛋白結合率、分布容積、代謝クリアランスの変化、あるいは尿毒素を始めとする内因性物質の濃度上昇によるクリアランスの競合などが考えられる。したがって、腎障害時の薬物の適正な投与設計のために、本研究では腎障害患者における薬物動態変化の情報について網羅的に調査し、その変動を予測できる因子を明らかにすることを目的とした。 【研究方法】腎排泄は低~中程度であるが腎障害時の薬物動態変化が報告されている28薬剤について、未変化体尿中排泄率、生物学的利用率、全身クリアランス、分布容積、タンパク結合率などの情報を収集し、その腎障害時の薬物動態変化との関連性を調査した。また、それぞれの薬剤がCYPなどの薬物代謝酵素、あるいはトランスポーターなどの基質になるかについて、文献情報を収集するとともに、一部の薬剤についてはin vitroの実験系で評価した。 【研究成果】各種薬物動態パラメータ及びCYP分子種の種類と腎障害時の薬物動態変化の程度との間に、有意な統計的関連性は見いだせなかった。しかし、有機アニオントランスポータ(OATP1B1)の基質となる薬物においては、腎排泄寄与率から予測される以上に腎障害時の血中濃度が上昇している傾向が認められ、腎障害時にはOATP阻害を介した血中濃度上昇も考慮する必要性が示唆された。腎臓に発現するOATあるいはMATEなどのトランスポーターについては、さらに追跡調査が必要と考えられた。
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Research Products
(1 results)