2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん性疼痛治療における塩酸モルヒネ注射液の配合変化に関する検討
Project/Area Number |
23928020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末次 王卓 九州大学, 病院, 薬剤師
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Keywords | 塩酸モルヒネ注射液 / 配合変化 / 塩基性薬剤 |
Research Abstract |
【目的】 塩酸モルヒネ注射液(塩モヒ注)は酸性薬剤であり、塩基性薬剤との併用時には配合変化に注意する必要がある。しかしながら塩モヒ注の配合変化に関する情報は乏しく、また医療用麻薬であるため取扱いの管理が厳しいことから、臨床現場では塩モヒ注の調製や投与ルートの選択等に苦慮することも少なくない。そこで本研究では、実臨床において塩モヒ注の配合変化を予測・回避することを目的として、塩モヒ注の配合変化試験を実施した。 【方法】 配合試験には1規定水酸化ナトリウム溶液(NaOH)および規格pHが塩基性のラシックス注(20mg/2mL)を使用し、1%塩モヒ注2.5mLに各薬剤を混合した際の外観(色相、透明度)およびpHの変化を継時的に評価した。 【成果】 塩モヒ注にNaOHを混合すると直ちに白濁し、その後に生理食塩液(生食)にて8倍程度に希釈を行っても白濁は消失しなかった。一方、塩モヒ注を予め生食にて8倍希釈した後にNaOHを混合した場合においては、24時間後までの間に顕著な外観変化は認められなかった。また、塩モヒ注にラシックス注を直接混合すると直ちに白濁が認められたが、生食で予め8~9倍程度に希釈した塩モヒ注にラシックス注を加えた場合には、24時間後までに外観変化は認められなかった。一方で、生食による塩モヒ注の希釈が7倍程度の場合には、ラシックス注との混合により、24時間後にわずかな結晶の析出が認められた。 本研究により、塩モヒ注を塩基性薬剤と併用する場合には、調製するシリンジや注射針内等で原液同士が混ざらないよう配慮する必要があることが明らかとなった。一方で、塩モヒ注を予め十分に希釈することで、配合変化をある程度回避可能であることも示されたが、高濃度の塩モヒ注を投与する際には、調製後12時間前後での薬液交換が望ましい他、投与ルート内等での析出の有無を経時的に観察する必要があることが示唆された。
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