2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規合成カンナビノイドの構造決定及びスパイス系脱法ドラッグの異同識別
Project/Area Number |
23929005
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Research Institution | 兵庫県警察本部 |
Principal Investigator |
影平 俊介 兵庫県警察本部, 科学捜査研究所, 警察研究職員
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Keywords | 合成カンナビノイド / 脱法ドラッグ / 異同識別 |
Research Abstract |
目的 現在,科学捜査において分析が困難である新規合成カンナビノイド類の構造決定及びスパイス系脱法ドラッグの異同識別を目的とする。 方法 1.合成カンナビノイド類の構造決定 スパイス系脱法ドラッグ試料からメタノール抽出を行い,GC/MS分析により得られた合成カンナビノイドと考えられるマススペクトルから分子構造を推測し,その化合物を有機合成して比較することにより合成カンナビノイド類の構造決定及び同定を行う。 2.合成カンナビノイド類を含有するスパイス系脱法ドラッグの異同識別 まずスパイス系脱法ドラッグ試料を5分間液体窒素冷却後,凍結粉砕を行い,試料を均一化する。続いて均一化した試料から5mgを採取し,3分間超音波条件下において0.5mLのメタノールで抽出後,GC/MS分析を行う。得られたTIC上の合成カンナビノイドのピーク面積比を比較することによって異同識別を行う。 成果 まず,1.について,スパイス系脱法ドラッグに含有すると推測されたJWH-018,073,122,203,251を有機合成し,比較することにより構造決定に成功すると共に,これら合成カンナビノイド類の分析が新たに可能となった。なお,JWH-122,203,251は本研究期間中新たに指定薬物に指定されている。 2.について,同一試料から均一化したものを複数点用意し,合成カンナビノイドのピーク面積比のばらつきを評価したところ,その相対標準偏差はいずれも10%以下と再現性良く得られることが判明した。これら脱法ドラッグの多くは植物片であることから,再現性確保のための試料の均一化には凍結粉砕が非常に有効な手段であることを見出した。スパイス系脱法ドラッグは2種類以上の合成カンナビノイドを含有していることがほとんどで,かつそれらのピーク面積比はパッケージ間において異なるため,本手法による異同識別は有効である。今後は本手法を新たな脱法ドラッグにも適用していきたい。
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