2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23929020
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横山 威一郎 千葉大学, 医学部附属病院・薬剤部, 薬剤師
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Keywords | MRSA肺炎 / リネゾリド / 早期改善 |
Research Abstract |
[目的] MRSA肺炎の治療期間の短縮は、耐性菌のコロニゼーションの惹起や用量依存性の薬剤の副作用などの懸念を解消することにつながり、患者QOL向上および院内感染伝播の低下に寄与する。しかしながら、早期改善に影響を及ぼす因子についての報告はない。そこで、感染症の治療に影響を及ぼす因子を幅広く捉えて、治療期間の短縮および早期の臨床効果に影響を及ぼす因子を探索することを目的とする。 [方法] MRSA肺炎と診断された症例のうち抗MRSA薬使用患者(選択基準、除外基準あり)を対象とした。背景因子として、治療薬、TDMの有無、併用薬、基礎疾患、合併症、感染症重症度、人工呼吸器装着有無、栄養状態、ステロイド使用有無など幅広く収集した。 有効性評価法は、細菌培養検査、呼吸器症状、胸部X線写真像、臨床検査値などより総合的に評価した。安全性評価法は、厚生労働省の「医薬品等の副作用の重症度分類基準について」のグレード分類を用いて評価した。 [結果] MRSA肺炎を対象としたリネゾリド(LZD)とバンコマイシン(VCM)の有効性・安全性の比較検討をレトロスペクティブに行った。有効率は、LZD群68%、VCM群55%と両群間に有意差は認められなかった。投与後60日以内の再発率・生存率に関しても有意差は認められなかった。有害事象発現率は、LZD群64%、VCM群59%と両群間に有意差は認められなかった。投与期間は、LZD群8.8±5.3日、VCM群14.7±9.6日であり、LZD群が有意に短期間であった。有害事象を分析すると、LZD群のうち、CV留置、総ビリルビン数高値、血小板数低値症例においては、骨髄抑制が発現しやすいことが明らかとなった。有害事象の発現リスクが高くない症例においては、LZDを早期から使用することで治療期間の短縮が期待できることが示唆された。 今後、さらに調査を続け、早期臨床効果に影響を及ぼす因子を探索する。
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