2011 Fiscal Year Annual Research Report
ピオグリタゾンの肝細胞における脂質代謝改善メカニズムの解析
Project/Area Number |
23930005
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
飯田 慎也 旭川医科大学, 病院・薬剤部, 薬剤師
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Keywords | チアゾリジン / 非アルコール性脂肪肝 / インスリンシグナル伝達 |
Research Abstract |
【研究目的】インスリン抵抗性改善薬であるピオグリタゾンは、抗糖尿病薬としてだけでなく非アルコール性脂肪肝の治療にも有効である。ピオグリタゾンの肝臓における詳細な作用メカニズムは不明であるが、肝臓においてPPARγ_1の活性化を介して、インスリンシグナル伝達系や脂質代謝系に作用していることが推測される。本研究の目的はピオグリタゾンの肝細胞における薬理作用を調べることで、肝臓をターゲットとしたインスリン抵抗性および脂質代謝改善薬の開発に有用な基礎情報を得ることにある。 【研究方法】ヒト肝細胞由来のHepG2細胞にピオグリタゾンを終濃度25μMで72時間作用させたのち、インスリンシグナル伝達系の主要因子であるAkt/PKB、Akt/PKBの下流でグリコーゲン合成や脂肪酸合成に関与するGlycogen synthase kinase 3β(GSK-3β)、脂肪酸分解に関与するProtein kinase A(PKA)の転写量の変動をリアルタイムPCR法で評価した。 【研究成果】コントロールと比較してピオグリタゾンを作用させたHepG2細胞ではPKAの転写量は約61%、GSK3βでは約75%に減少していた。またAkt/PKBの転写量に変動は見られなかった。PKAの転写量の減少は、肝細胞中で脂肪酸分解が抑制されている可能性を示唆するものである。またGSK3βはグリコーゲン合成、脂肪酸合成に抑制的に作用すると考えられており、GSK3βの転写量が減少することで肝細胞中でのグリコーゲン合成や脂肪酸合成が活性化されている可能性が示唆された。インスリンシグナル伝達系は各因子が複雑に相互作用しながら調節されている。これらの実験結果をさらに検討していく必要がある。現在、各因子のリン酸化解析実験を継続して行っている。
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