2011 Fiscal Year Annual Research Report
ネズミ盲腸蟯虫虫卵に対するホルマリンガス及び弱酸性次亜塩素酸水の殺卵効果について
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23930012
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
久保 憲昭 国立大学法人長崎大学, 先導生命科学研究支援センター・比較動物医学分野(動物実験施設), 技術職員
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Keywords | ネズミ盲腸蟯虫 / 弱酸性次亜塩素酸水 / ホルマリン消毒装置 |
Research Abstract |
【目的】ネズミ盲腸蟯虫の駆虫薬による駆虫方法は確立されつつあるが、かなりの確率で再発を繰り返している。その原因として、動物実験施設内に利用者が持ち込む実験機器等を介した再発が最も疑われるところである。今回、機能水として最近注目を集めている弱酸性次亜塩素酸水と低温負圧のホルマリン滅菌装置、低温常圧のホルマリン消毒装置を用いてネズミ盲腸蟯虫虫卵の殺卵効果について検討した。 【方法】ネズミ盲腸蟯虫に感染したAKRマウスの肛門周囲から粘着テープ法にて蟯虫卵を採取し、蟯虫卵が100個以上付着したテープをホルマリン滅菌装置(1モードのみ50℃,180分)ないしホルマリン消毒装置3モード(モード1:47℃,180分、モード2:47℃,240分、モード3:65℃,180分)で処理した。また、弱酸性次亜塩素水については残留塩素濃度を50ppmと200ppmに調整し、蟯虫卵が付着したテープにハンドスプレーで噴霧し15分間反応処理した。処理済みの蟯虫卵は、人工腸液で37℃、4時間培養し形態を観察した。卵中に虫体が残存している場合は死滅、脱出中あるいは卵中に虫体がいない場合は生存と判定し、生存率を算出した。 【結果】蟯虫卵の生存率は、採取翌日の未処理(コントロール)の場合77.3%であった。それに対し、ホルマリン滅菌装置で処理した蟯虫卵の生存率は0.2%で、ホルマリン消毒器では、モード1で1.6%、モード2で1.9%、モード3で1.2%であった。また、200ppm弱酸性次亜塩素水で処理した場合の生存率は4.8%、50ppm弱酸性次亜塩素水では9.2%の生存率であった。 【考察】我々が用いている算出方法では、死滅した虫体が物理的に卵中から押し出された場合も「生存」とカウントされることから、計算上の生存率が0%になることはないと考えられる。今回用いた6つの処理方法は、いずれも蟯虫卵を殺卵することができる有効な方法といえる。特にホルマリン滅菌・消毒装置は、いずれのモードにおいても殺卵効果が非常に高くその有用性が明らかとなった。
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