2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生におけるユビキチン化タンパク質の網羅的解析
Project/Area Number |
23930013
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
坂上 倫久 愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 技術補佐員
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Keywords | 血管新生 / ユビキチン / プロテオミクス |
Research Abstract |
[目的]本研究は、血管新生特異的におこるポリユビキチン化ターゲットタンパク質を網羅的に解析し、癌治療における新規薬剤ターゲットとなるタンパク質を同定することを目的としている。 [方法]はじめに申請者は、フィブリンゲル血管新生アッセイと、電気泳動法およびユビキチン化タンパク質濃縮カラムを組み合わせることで、血管新生特異的なユビキチン化タンパク質の発現変動を見積もった。しかし、本システムにより得られる結果は、非常に複雑なバンドパターンを示す他、再現性の取得が非常に困難であったため、次の改良法を用いることとした。(1)血管内皮細胞においてノックダウンを行うと血管伸長が著しく阻害されるユビキチンE3リガーゼ、Cullin3に着目。(2)Flag-tagをN末端に付加させたCullin3のポリユビキチン化アダプタータンパク質結合領域(BTB-BD)を、血管内皮細胞内にレンチウィルスを用いて過剰発現させた。(3)抗flag抗体を用いた免疫沈降法によって、Cullin3に結合する、血管内皮細胞特異的アダプタタンパク質を同定することを試みた。E3リガーゼの基質は、このユビキチン化の基質選択に必須であるアダプタータンパク質から推定出来るものと考えた。 [成果]BTB-BDに、特異的に結合するタンパク質を、免疫沈降法を用いて探索したところ、分子量70kDaおよび36kDaをはじめとするいくつかの候補タンパク質を見いだすことに成功した。一方、BTB-BDを血管内皮細胞内に過剰発現させると、コラーゲンゲルを用いたin vitro network for mationassayおよびフィブリンゲルを用いたfibrin gel sprouting assayの両アッセイにおいて、その血管新生活性が強力に阻害されることも、併せて見出すことが出来た(前者の方法では30%阻害、後者の方法では50%程度の阻害)。この結果は、BTB-BDがdecoyとして機能し、同定した結合タンパク質を介したユビキチン化システムによる血管新生への関与の重要性を示す。現在、これらのタンパク質の分子生物学的機能解析を進めているところである。
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Research Products
(1 results)