2011 Fiscal Year Annual Research Report
人体解剖標本プラスティネーション作成方法の確立とコメディカル解剖実習使用への試み
Project/Area Number |
23930014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 秀美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 技術専門職員
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Keywords | プラスティネーション標本 / 樹脂包埋 / 解剖実習補助教材 |
Research Abstract |
研究実績 解剖実習に使用された各臓器の一部を材料とし、ホルマリンにて再固定後アセトン溶液にて真空ポンプを併用し脱脂・脱水作業を行い、シリコン・ポリエステル樹脂・エポキシ樹脂各々を用い包埋処理を行い、プラスティネーション標本を作成した。樹脂の硬化方法は室温乾燥で行った。シリコンでは消化管を主体として行ったが、組織への浸透性がよく形態の保持、可動性に優れ満足のいく標本ができた。ポリエステ樹脂では、脳組織を行ったが、脳組織の脂質成分が多く樹脂の浸透性が極端に悪いため、恒温器を使用し、1週間ほど高温を保ち浸透させることで良好な標本ができた。 エポキシ樹脂では各実質臓器を対象として行った。肝臓・腎臓など実質臓器のため樹脂の浸透が極端に悪く、これも同様に恒温器にて浸透を促進させた結果、良好な標本ができた。各標本は2~3ヶ程度しか作成出来なかったが、これらの標本を学生実習に付属させ解剖実習補助教材として使った。結果としては、臓器に直性触れることができ、実物の大きさや色、形を視覚と触覚で把握でき、また血液の付着や腐敗臭などの異臭もなく学生に不快感を与えることなく扱えることで、非常に解剖実習には有意義な教材と成り得た。欠点としては、有機溶剤による脱水・恒温器での高温による樹脂浸透によって、本来の大きさより10~20%程度実物より小さくなること、シリコンでは柔軟性があるのに対し、ポリエステルやエポキシ樹脂では非常に硬くなり、臓器本来の固さを感じる事は不可能であることだった。また、出来る限り保存のよい臓器から標本作製するのが理想ではあるが、献体からのご遺体とういうこともあり、臓器の選別に時間がかかる。以上を踏まえ、標本作製の基本的手技は達成出来たと考えるが、標本は消耗品と考え、必要に応じて数年単位で再度作成する必要性があると推測されるため、数年から10数年程度標本臓器を学生実習で使用しながら保管し、どの程度の使用可能年数があるのかを調査していく必要性がある。
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