2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23930016
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
首藤 政親 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 技術専門職員
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Keywords | カコジル酸緩衝液 / 硫黄化合物 / 電子顕微鏡染色 |
Research Abstract |
平成22年度科学研究費補助金(奨励研究)で、カコジル酸緩衝液を混合した染色液で染色し、後にクエン酸鉛染色を行う方法を見出した。この二重染色法は代替えウラン染色の一つとして非常に有意義であった。 今回は、より簡便な方法として染色液にカコジル酸緩衝液を混合する単染色法を試みた。当初、最も期待したのがHafnium(IV)chloride+カコジル酸緩衝液染色であったが、実際には鉛+カコジル酸緩衝液染色が好結果であった。この方法によって、染色性が劣るribosomeなどでも酢酸ウラン・鉛染色に近づく染色性を示すことができた。これは、鉛にカコジル酸緩衝液を加えることによってpHが上がり陰荷電鉛が形成され細胞成分のプラス荷電物質と反応したためと推測される。鉛染色液の種類によっても染色性の違いが大きくVenable-Coggeshall法・酒石酸鉛水平・黒滝法独自変法で好結果を得た。 各種染色液+カコジル酸緩衝液によるBlock Stainの染色性の検討では、Hafnium(IV)chloride,OTEの染色増感性が良く、アルコール系の溶媒のような染色性のムラを生じることもなかった。 又、カコジル酸緩衝液が染色増感性を示したのは、T社の製品のみであった。そこでEDX元素分析を行うと、T社の製品には硫黄が0.76%含まれており、硫黄が増感性に関与していることが分かった。さらに研究を進めると増感性は硫黄単体ではなく硫黄化合物となった際に生じる事が判明した。幾種類かの硫黄化合物を検討した結果、雄黄がU・Pb二重染色に近い染色性を示すほど優れていたが、雄黄はヒ素を多量に含むために使用には不向きな点もあり、現在より有効な硫黄化合物を模索している。 本研究によって、ribosome・核膜二重構造のような好ウラン細胞成分に染色を増すことに成功するとともに、代替えウラン染色法の安定性へ大きく貢献した。
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Research Products
(2 results)