Research Abstract |
【研究背景・目的】 膵臓がんに対する息止めIMRTにおいて,息止め位置誤差による線量分布への影響を検証し,新しく提案する治療計画・照射方法により,現行の治療計画・照射法に対して息止め時間をどの程度短縮できるか,また,それと同等の治療計画が作成可能か,について検証を行う.新しく提案する方法とは,放射線治療計画を行う際に一回線量を半分に設定し照射は二回分を照射する,既存の機器で行える方法である. 【研究方法】 過去に息止めIMRTを行った10名の患者データをもちいて,息止め位置誤差データをもとに,放射線治療計画装置を用いて照射回数ごとの線量分布を再現し,治療計画に用いる線量指標について,息止め位置誤差が無い状態で計算したものと比較する. 提案法による息止め時間の短縮率を計算し,また,提案法の妥当性を確認するために,照射の強度変調分布をDose difference 0.5%, 1.0%,2.0%で比較した. 【研究成果】 息止め位置誤差による線量への影響について,CTVのD2%は1.17%ポイント,胃のDmaxは7.90%ポイント,十二指腸のDmaxは3.00%の最大誤差があった.胃の最大差が発生したケースについて,照射15回分を加算すると,線量の平坦化により,0.81%ポイント差であった.息止めを要する照射時間は提案法により23.5%から40.3%の短縮が可能であった.また,強度変調分布の差はDose difference 0.5%, 1.0% 2.0%,それぞれ,84.1+/-14.6%, 93.6+/-9.9%, 97.9+/-4.5%,(mean+/-SD)であった. これらの結果から,今回提案した方法は,現行と同等の治療計画が行え,かつ,息止めに要する時間が短縮,仮想的に照射回数が増えることで線量分布誤差の平坦化を促す,患者に優しい放射線治療を提供することを可能にする.
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