2011 Fiscal Year Annual Research Report
腸管からの脂質吸収と脂肪肝・インスリン抵抗性の病態形成に関する研究
Project/Area Number |
23931030
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
出牛 三千代 東京医科歯科大学, 生命倫理研究センター, 技術補佐員
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Keywords | 脂質 / 腸管リンパ液 |
Research Abstract |
【目的】 2型糖尿病や動脈硬化性疾患等の生活習慣病の発症要因として、食生活の欧米化に伴う脂質摂取量の増加が挙げられる。これまで、脂質摂取が肝臓及び血管などで炎症を誘発する報告が挙がっているが、脂質が吸収される小腸部位を標的とした報告は、数少ない。 我々は、脂質が小腸で吸収された時点で炎症を惹起させると仮定し、脂質吸収の変化が腸管リンパ液中の組成に与える影響について検討を行った。 【研究方法】 SD系ラット(雄、16週齢)の胃底部に高濃度の脂質(10%大豆油含有脂質栄養剤)を負荷、腸間膜リンパ管から腸管リンパ液を経時的に回収し、腸管リンパ液中の白血球数を血球計算盤法にて測定、またリンパ液上清に含まれる炎症性サイトカインについて網羅的に解析した。 【研究成果】 腸管リンパ液1ml中の白血球数を脂質栄養剤投与前と投与2時間後で比較検討した所、投与2時間後の白血球数が投与前と比べて2.7±0.4倍(p<0.05)と有意に増加した。 脂質栄養剤投与前と投与後の腸管リンパ液上清に含まれる炎症性サイトカインをサイトカインアレイで測定した。その結果、IL-1β、Adiponectin/Acrp30、AMPKαが脂質栄養剤投与後で増加していることが分かった。一方、VEGF-Cは、脂質栄養剤投与後で発現量が減少していた。 【今後の展望】 今回の検討から、脂質吸収時の腸管リンパ液の応答として、総白血球数の増加と特定のサイトカインの増減が確認された。今後は、白血球数の増加を誘発する脂質の種類の同定と、白血球活性化の有無を検討する予定である。
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