2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性重症大動脈弁閉鎖不全症における潜在的心筋障害の解明
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23931046
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
飯田 典子 筑波大学, 附属病院・検査部, 臨床検査技師
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Keywords | 大動脈弁閉鎖不全症 / 壁応力 / Strain |
Research Abstract |
本研究の目的は慢性重症大動脈弁閉鎖不全症(AR)における潜在的な心機能障害の病態を解明し、超音波法により非侵襲的に検出することで適切な手術時期の決定や術後のQOLの向上に貢献することである。通常の診療上必要な心エコー検査を実施し、得られた画像を解析しARにおける心筋局所のstrain変化と壁応力の関係から心筋障害のメカニズムを明らかにした。方法は1.スペックルトラッキング法を利用しAR症例について心筋の内膜側および外膜側に分離して各々のストレイン値を計測した。2.心エコー図による計測と通常測定の血圧を利用し壁応力を推定した。結果は重症ARでは心内膜下層においてstrain値の低下を認めた。重症ARでは壁応力の増加が問題となり、重症ARで壁応力が増大していた。左室駆出分画(EF)の保持されたAR症例は手術後心外膜側のstrain値の低下を認めた。 心内膜側心筋収縮の低下原因としては心筋の線維化などが考えられたがARのstrain低下には壁応力の増大の関与が示唆された。壁応力の増大した重症AR患者の心筋はそれに適応するため再編成するがEFの低下した症例では代償性機構は破綻し機能不全を示した。特殊な再編成として、心内膜心筋の機能障害が伴ったEFの保持された重症AR患者の壁肥厚の代償機構は心筋中部から心外膜の壁厚を顕著に肥大させることが明らかとなった。ARにおける心内膜側の心筋障害と代償機構のメカニズムの解明は潜在的な心機能障害の検出につながり、左室内径による従来の手術時期決定法よりも優れた指標となる可能性があり、本疾患の適切な手術時期の決定や術後のQOLの向上に貢献できると期待される。
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Research Products
(7 results)