2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌のガス産生に関与する遺伝子発現と口臭の関係についての基礎的研究
Project/Area Number |
23932002
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩崎 代利子 広島大学, 病院, 歯科衛生士
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Keywords | P.gingivalis / メチルメルカプタン / mgl |
Research Abstract |
【研究目的】 歯周病は病的口臭症の最大の要因である。歯周病には種々の歯周病原細菌の関与が指摘されており,それら口腔内グラム陰性嫌気性菌は揮発性硫黄化合物(以下VSC)の生成に関与している。VSC産生メカニズムについては,脱離上皮細胞,血液成分あるいは食物残渣などの細菌酵素によるタンパク分解から生じる含硫アミノ酸の細菌代謝産物といわれている。本研究は歯周病原細菌Porphyrompnas gingivalis(Pg)の産生する、口臭関連ガスであるメチルメルカプタンに注目して、特にPgのメチルメルカプタンの産生に必須遺伝子であるmgl 1-methionine-α-deamino-γ-mercaptomethane-lyase(METase)に焦点を当てて、Pgのガス産生能と口臭の関係について明らかにすることである。 【研究方法】 1)Pgが産生するメチルメルカプタンの測定 オーラルクロマを使用してメチオニンを基質としたガス産生量を測定する。 2)Pg標準株におけるmglの発現 既に確立した手法であるリアルタイムPCRを用いてメチオニンを基質としたmgl発現について検討する。 3)広島大学病院歯周診療科口臭外来受診患者のメチルメルカプタン産生量の測定 インフォームドコンセントが得られた患者の口臭関連ガス産生について検討する。 【研究成果】 Pg標準株へのL-メチオニン添加によるCH_3SH産生量はW83、R-113、W50に高い値、33277、HW24D-1に低い値が認められ菌株間で差があることを確認した。Pg標準株間でのアミノ酸分解酵素mglの遺伝子発現は株間で差が認められ、CH_3SH産生量が高いほどmgl発現が高い傾向を示した。そして、Pgのメチルメルカプタンの産生に必須遺伝子であるmglの発現の高さは口臭の程度にも影響があると考えられる。今後は患者由来の臨床分離株のmgl発現量とガス産生量の相関について遺伝子レベルで検討する必要があると考える。
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