2011 Fiscal Year Annual Research Report
死亡時画像診断における超音波的手法の有用性についての基礎的検討
Project/Area Number |
23933010
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
竹下 直美 佐賀大学, 医学部, 技術員
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Keywords | 死後変化 / 画像診断 / 超音波的手法 |
Research Abstract |
死後超音波画像診断法の確立に貢献するために、本研究では基礎研究として、エコーとCTを一定時間ごとに撮影し、両者を比較し死後経過時間と画像変化を観察した。 実際には持ち運び可能なエコーを既に導入している警察本部での応用が可能になるように描出部位を限定して観察した。その理由は、持ち運び可能なエコーで遺体を観察することを考えた場合、現場に居合わせた医療従事者や警察官が臓器を特定し、病変を見つけ、死因を推定するには相当の訓練が必要であり現場に活かすには現実的とは言い難いためである。そこで、医療従事者よりも医学的知識が少ないと考えられる警察官でも比較的描出しやすいと思われる臓器に焦点を絞り、死後の時間経過が超音波画像に対してどのような影響を与えるのか、超音波画像による死後時間の推定が可能であるかどうかを検討した。 気温による死体現象の進行を考慮して、予備実験を11月下旬、本実験を12月上旬に行った。 佐賀大学動物実験委員会の承認後2か月齢のブタ(オス)を麻酔薬過量投与により安楽殺し、携帯型のエコーと佐賀大学AiセンターのCT装置で経時的に観察した。 予備実験で1時間毎24時間までの変化を追ったところ、安楽殺後短時間における画像変化が著しかったため、本実験では安楽殺後3時間まで15分毎に撮影することとした。また、本実験はブタの体重、直腸温、腹囲についても経時的に観察した。 実験開始から43時間で腹囲は約10cm大きくなり皮下気腫を認め、エコーでは諸臓器観察困難となった。 CTは空気の存在に対しても観察困難になることはなかった。 また、予備実験と本実験で同じ月齢のブタを各1頭使用したが個体差が大きく、死後変化を反映するのは困難であった。 しかしながら少量の液体貯留や膀胱内の尿は、エコーで明瞭に観察できた。これはCTに対するエコーの優位性であり、またその特性を利用してエコーガイド下における液体採取への応用も可能であると考える。
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