2011 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるWntおよびFrizzled-7の腫瘍検査学的意義の解明
Project/Area Number |
23933012
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西岡 光昭 山口大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Keywords | 大腸癌 / Wnt11 / FZD7 |
Research Abstract |
研究目的:本研究では、FZD7のリガンド候補であるWnt3とWnt11の大腸癌細胞株や大腸癌組織における発現レベルを検討し、FZD7を介した大腸癌進展メカニズムの解明および、Wnt signaling pathwayにおける大腸癌マーカーとしての有用性について研究を行った。 研究方法:以下の方法で研究を行った。 1.大腸癌細胞株と大腸癌組織におけるWnt3及びWnt11 mRNA発現量の測定 7つのヒト由来の大腸癌細胞株と、133名の大腸癌患者より得られた大腸癌組織からmRNAを抽出後、Wnt3及びWnt11のmRNA発現量を定量測定した。 2.大腸癌におけるWnt蛋白の機能解析 Wnt蛋白を安定して過剰発現する遺伝子導入細胞を作製し、その細胞を用いて細胞増殖能、細胞遊走能、細胞浸潤能の検討を行った。また、作製した細胞のcononical Wntシグナル経路及びnon-cononical Wntシグナル経路への影響を明らかにするために、各経路に特徴的な分子群の発現やリン酸化についてウェスタンブロット法にて検討した。 研究成果:Wnt11過剰発現細胞を用いた実験では、Wnt11は細胞の増殖・運動・浸潤に関与していることが確認され、また、JNK、c-Junのリン酸化レベルが増加しておりnon-canonical Wntシグナル経路の活性化が示唆された。また、Wnt11 mRNAは非腫瘍組織に比べ腫瘍部組織で有意に発現量の高いことが確認された。一方、Wnt3 mRNA発現量に関しては有意な差は確認できなかった。手術後一定の期間においてdisease freeであった患者と、手術後に再発もしくは死亡された患者の腫瘍部組織でのWnt11 mRNA発現量を比較したところ、再発もしくは死亡された患者の腫瘍部組織においてWnt11発現量が有意に高いことが確認された。最後に、Wnt11とFZD7の両遺伝子とも高発現のグループは両遺伝子とも低発現のグループに比べ無病生存期間でが有意に短いことが確認できた。これらの結果より、Wnt11とFZD7の相互作用は大腸癌の進展に重要な役割を担っていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)