2011 Fiscal Year Annual Research Report
青色街路灯下における緑内障眼の視力に及ぼす影響について
Project/Area Number |
23933014
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
桝田 浩三 奈良県立医科大学, 医療技術センター, 技師
|
Keywords | 視機能 / 青色街路灯 / 緑内障 |
Research Abstract |
【目的】青色街路灯が防犯対策に有効であるとして、近年青色街路灯が増えてきている。青色街路灯は、白色街路灯に比べ、雨天や霧の中では極度に視認性が低下し、交通事故等の発生を助長する危険性があると言われている。緑内障眼では眼圧の影響により青錐体が障害されやすく、視野障害の出現よりも早くに青色障害が発生する。青色街路灯下における緑内障眼の視力に及ぼす影響について研究を行った。 【対象と方法】正常者群:20歳以上40歳未満は16名、平均年齢30.1歳、等価球面度数-2.87D。40歳以上60歳未満は17名、平均年齢47.9歳、等価球面度数-1.94D。緑内障群:20歳以上60歳未満7名9眼、平均年齢45.0歳、等価球面度数-5.00Dを対象とした。正常群は全例右眼、緑内障群の2名のみ両眼の測定を行った。矯正視力1.0以上有すること、緑内障群では緑内障以外に眼疾患を有さないことを条件とした。屈折異常眼は眼鏡枠を用いて矯正。視野異常はAulhorn分類Greve変法を用いて評価を行った。明所にて視力検査後、暗所での各視力検査は、10分以上の暗順応後に白色蛍光灯下から行い、青色蛍光灯に換え10分以上の色順応後に行った。暗所での視力検査は字ひとつ視標を使用し、室内照度は夕暮れ時の照度を参考に1.0lux±0.5luxにて測定した。 【結果】視野異常眼の程度は、平均2.2Stage(1~3)であった。暗所における白色蛍光灯と青色蛍光灯下の視力は、各対照群ともに明所下の視力より低下した。白色蛍光灯下の視力は、各対照群間で差は認められなかったのに対し、青色蛍光灯下の視力は、各正常者群と比較し緑内障群で有意な低下が認められた(p<0.01)。緑内障群における青色蛍光灯下の視力は、白色蛍光灯下の視力と比較し有意な低下が認められた(p<0.01)。 【本研究の意義・重要性】視力は照度が下がると低下する。しかし、同じ照度であっても波長の違いにより眼疾患を有する場合、視力への影響についてはあまり研究されていない。今回、緑内障眼における短波長の青色蛍光灯下の視力は、白色蛍光灯下に比べ有意に視力が低下する結果となった。 このことを踏まえて、青色街路灯を使用する場合は、安全性を考慮し道路面の照度を上げる必要性が示された。
|