2011 Fiscal Year Annual Research Report
「生活科学リテラシー」の育成を目指した文理融合・探求型カリキュラムの開発
Project/Area Number |
23935003
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中川 雅子 奈良女子大学, 附属中等教育学校, 教諭
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Keywords | 生活科学リテラシー / カリキュラム開発 / 疲労度 |
Research Abstract |
○研究目的 生活に関わる問題を学ぶ際には、既存の教科領域の学習や受動的な学習ではなく、文理融合型であり、主体的に考える探求型の学習が重要である。ここでは、「日常生活における諸問題に対し、科学的な視点から検証していくこと」を「生活科学リテラシー」と定義し、「生活科学リテラシー」の育成を目指した文理融合・探求型のカリキュラムを開発していくことを目的とした。 ○研究方法 1年間を4つの期間に分け、同じ実践を対象生徒を変えて4回繰り返した。実践では、運動時の「疲労度」を科学するというテーマを用いた。「疲労度」を単に個人の感覚で終わらせず、何に起因するのかを心拍数および主観的運動強度という指標から計測、データ化、分析する。データから「疲労度」を考え、自分の身体や他人との身体の違いを学ぶことをねらいとした。授業は、問いの設定、知識習得、実験、考察、まとめの順で進められ、授業ごとに「自己評価シート」を課した。自己評価シートとレポート課題により、生徒の問題意識や興味関心、その変化等を実践の分析および評価に役立てた。 ○研究成果 実践を4回繰り返すこと、自己評価シートによる分析を行うことで、内容等の見直しを行い、有効的にカリキュラム開発を進めることができた。本研究の大きな成果は、生徒の「身体への気づき」が得られたことにある。自分の身体を「疲労度」という客観的尺度から理解し、考える手掛かりとなった。また、同じ強度の運動でも、環境やその運動への動機づけが異なれば疲労度は違うのか等、授業を進める中で新たな疑問が生徒に芽生えた。多様な問題が生じる生活の中で、安全かつ健康に生きるために、自己の身体をいかに客観的視点から理解するかという基本的な考え方が得られたと示唆する。さらに生徒の気づきには、生活科学リテラシーの重要性を感じただけでなく、身の周りの多様な疑問に対し、検証を試みるなど実践に移す変化も生じた。
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