2023 Fiscal Year Annual Research Report
New development of Semiconductors Intracenter Photonics
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23H05449
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 康文 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (10181421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 好一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20283632)
小島 一信 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (30534250)
市川 修平 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50803673)
佐藤 和則 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60379097)
舘林 潤 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40558805)
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Project Period (FY) |
2023-04-12 – 2028-03-31
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Keywords | 希土類元素 / 内殻遷移 / 発光中心の再構築 / フォトン場制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
【課題1】Eu発光中心の組み替え: Eu発光の高効率化を目指した「イントリンジック制御」として、高温熱処理の効果に着目した。Eu添加GaNの成長後に高温で熱処理を施した結果、発光効率の低い発光中心(OMVPE1および2)が発光効率の高い発光中心(OMVPE7および8)へ変化することを見出した。1100℃で10分間熱処理を施した試料において、最大で5.1倍の発光増強を実現した。また、熱処理技術を施したLEDにおいて最大で2.5倍の発光増強を観測した。 【課題2】Eu発光中心の理論的/実験的同定: 放射光を用いた原子周辺局所構造評価法である蛍光X線ホログラムにより、Gaサイトを置換するEu原子がGa面からズレて存在していること、成長後熱処理によりEu原子周辺局所構造が変化することを実験的に明らかにした。第一原理計算により、様々な配置のEu原子周辺局所構造を系統的に予測できる手法を確立した。 【課題3】究極的なEu発光機能の実証: Eu添加GaNにおいて、光学利得と、誘導放出に求められる共振器Q値との関係を見積もった結果、現状の光学利得ではQ値として20,000~40,000が必要であることを明らかにした。発光効率の高いEu発光中心を選択的に形成できれば、光学利得の向上が期待できる。一方、Eu添加GaN 2次元フォトニック結晶光共振器の更なる高Q値化に向けて、より高い設計Q値を有する2次元ヘテロ共振器を設計/作製し、GaN系微小共振器において世界最高値の実験Q値11,000を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究ではEu周辺局所構造に着目した「イントリンジック制御」とEu発光中心が感じるフォトン場に着目した「エクストリンジック制御」を融合させ、GaN母体からのエネルギー輸送が極端に高いEu発光中心のみを選択的に形成し、そこにフォトン場を作用させて、Eu発光機能の究極を抽出することを目指している。今年度は、発光効率の高いEu発光中心を優先的に形成できる手法が明らかになり、LED構造においてもその効果が実証できた。一方、誘導放出に求められる高Q値光共振器についても世界最高値である実験Q値11,000を得ることに成功しており、想定以上に研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を継続的に発展させながら、下記の課題に取り組む。 【課題1】Eu発光中心の組み替え: Eu添加GaNにおけるEu原子周辺局所構造と発光機能との関連を基盤として、原子レベルで制御されたEu添加技術と成長後プロセス技術(熱処理温度や時間など)の高度化に継続的に取り組む。さらに、成長用基板面方位の効果も考慮して、発光効率の高いEu発光中心を選択的に形成する方策の最適化を行う。 【課題2】Eu発光中心の理論的/実験的同定: 成長用サファイア基板の面方位や熱処理条件の異なるEu添加GaNの蛍光X線ホログラムをこれまでに測定している。第一原理計算により予測されるEu複合欠陥の安定構造を基盤として、そこから得られた原子像を解析することにより、複数ある発光サイトのいくつかを決定する。 【課題3】究極的なEu発光機能の実証: Eu添加GaNのレーザ発振の可能性を検討するために、より精細な光学利得の評価を目指す。また、積分球を使用した光学測定等を通して、熱処理によりEu周辺局所構造を変化させた際の発光効率の絶対値評価にも取り組む。一方、「モードロックfsレーザ用パルスピッカー」を導入することで、fsチタンサファイアレーザの繰り返し周波数を80 MHzから最小308 Hz程度にまで減少させ、長発光寿命のEu発光に対応しつつも極めて高い時間分解能を有した時間分解フォトルミネッセンス測定系を構築する。さらに、本測定系を用いて周辺局所構造が変化した際のGaN中Euイオンの励起過程の差異について解明を進める。
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Research Products
(28 results)