2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K00038
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊吹 友秀 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 准教授 (70713014)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 生命倫理学 / 研究倫理学 / 生殖補助医療 / 世代間倫理 / 胎児 / 妊婦 / 臨床研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生殖補助医療の場面などを念頭に、生まれてくる子どもに対する親の倫理的・道徳的責任について考える「親子間の世代間倫理」の理論的構築を目指した研究である。そのため、本研究においては、1)「親子間の世代間倫理」をめぐる基本的な概念の整理、2)「親子間の世代間倫理」という視点からの歴史的展開の俯瞰、3)具体的な生殖補助医療技術に関する「親子間の世代間倫理」の観点からの分析を目的とした哲学・倫理学的な手法による文献研究の三つの研究のサブテーマを掲げている。これらの内、2023年度は1)と3)の観点からの研究に着手し、その成果について国際会議および国内学会での研究発表を行った。 国際会議については、”The Concept of 'the Fetus as a Reseach Subject'-Its Practical and Ethical Implications”というタイトルで、The Uehiro-Oxford-Melbourne-Japan Conferenceという国内外の生命倫理学や研究倫理の専門家が集まる会議において発表を行った。具体的には、胎児が臨床研究に巻き込まれる場合に、親となる人間の倫理的責任について「親子間の世代間倫理」の観点も踏まえて分析した内容について発表し、特に国外の研究者から高い関心が寄せられ、現在、共同研究の話なども上がっている。 国内学会についても、「胎児治療研究と”被験者としての胎児”」と題する発表を日本生命倫理学会で行い、「親子間の世代間倫理」の観点から臨床研究における胎児とその親となる人々の間の倫理的な葛藤に関して問題提起を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に記した本研究の三つの目的(1)「親子間の世代間倫理」をめぐる基本的な概念の整理、2)「親子間の世代間倫理」という視点からの歴史的展開の俯瞰、3)具体的な生殖補助医療技術に関する「親子間の世代間倫理」の観点からの分析を目的とした哲学・倫理学的な手法による文献研究)の内、1)と3)については着手を開始し、すでにその成果の一部を発表することができた。そのため、研究開始年度としてはおおむね順調なスタートを切ることができたと考えている。 2)の研究については、本来であれば2023年度の内に若手研究者を雇用し、協力して研究を遂行する予定としていたのが、当初の若手研究者(候補者)の都合もあり、2023年度から雇用及び研究を開始することができなかった。そのため、1)と3)と比較して、2)の研究については進捗が遅れている状況となっている。 しかしながら、2024年4月より別の若手研究者を雇用することができたため、20024年度からは当該研究者と協力しながら、2)の研究テーマについても積極的に研究を進めていけるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に記した本研究の三つの目的(1)「親子間の世代間倫理」をめぐる基本的な概念の整理、2)「親子間の世代間倫理」という視点からの歴史的展開の俯瞰、3)具体的な生殖補助医療技術に関する「親子間の世代間倫理」の観点からの分析を目的とした哲学・倫理学的な手法による文献研究)の内、1)と3)については、申請者自身が中心となって、今後も研究を進めていく予定である。一方で、2)の課題については、2024年度より雇用した若手研究者を共同研究者と位置付け、申請者と協力しながら積極的に研究を進め、その成果についても2024年度後半を目標に論文化していけるようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2023年度に雇用を予定していた若手研究者(候補)の都合もあり、雇用を開始することができず、そのために研究計画及び予算執行に変更を余儀なくされたため、次年度使用額が発生した。2024年度は4月から別の若手研究者の雇用ができたため、その研究者の雇用のための費用と研究費として前年度繰越分を利用する予定となっている。
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Research Products
(3 results)